インタビュー
TGSで発表されたアレについても聞いてきた。「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」Chapter4“The Land of the Dragons”インタビュー
南蛮貿易だけにフォーカスする現状を修正
世界のさまざまなバランスを再構築
3点目のポイントとして,世界バランスの再構築ですね。この再構築は,大きく分けて地域のバランスと国家のバランス,それからレアアイテムの供給バランスの修正,この三つで構成されます。
まず,地域のバランスの修正ですが,これは一言で言うと,商人プレイヤーに大きく影響する部分の修正になります。現在の南蛮貿易は,圧倒的な稼ぎが生まれる状況なので,多くの商人プレイヤーは,南蛮貿易にフォーカスしている状況です。つまり,南蛮貿易一択になってしまっている傾向があります。
4Gamer:
商人としては,一番大きな利益に集中するのは自然ですよね。
渥美氏:
ええ。ただ,大航海時代 Onlineには,商人がどう動くかによって,海賊プレイヤーの動向やそれを討伐する軍人の動向が決まってくる部分があります。
4Gamer:
なるほど,確かにそうです。
渥美氏:
ですので,商人プレイヤーの人の流れに多様性を持たせれば,そのままゲーム全体の人の動きも多様性が生まれて,さまざまな状況が出てくると思っています。その方策として,二点を考えています。
4Gamer:
どんな方策なのでしょうか。
渥美氏:
まずは,南蛮貿易自体のバランスを若干調整します。南蛮貿易では基本的に,東アジアに持ってきた交易品と,物々交換で入手した交易品を,ヨーロッパに持ち帰って莫大な利益を手に入れますよね。その一方で,近隣の町で行っても,ある程度の利益が出るようなバランスになっていました。
最初にZipang,日本が入った時はこの状態でも良かったのですが,その後,台湾地域と朝鮮地域が入り,Chapter4ではさらに中国地域が入ります。そして現状においても,東アジア文化圏周辺での南蛮貿易だけで完結してしまっているのです。
4Gamer:
南蛮貿易をやるにあたって,ヨーロッパまで戻る時間と,東アジア周辺だけでの利益を比較すると,東アジア周辺だけで十分になっていたわけですね。
そうです。そもそも南蛮貿易の完成系は,わらしべ長者的に交易品を増やしていけるというのが元々の設計です。当然,四つの文化圏が揃うとそれができるようになっていくというのは想定していました。
渥美氏:
想定はしていましたが,今のプレイヤーの動向を見ていると,中国地域が登場することで,さらに南蛮のほうに集約されてしまうことは明らかでしょう。
4Gamer:
まさにそうなる気がします。
渥美氏:
そんな懸念もあり,南蛮貿易の売却価格について――調整度合いは個々の品目ごとに違うのですが,バランスの調整を入れたということです。
竹田氏:
これで,最初に思い描いていた完成系に近い形になっていくと思います。
渥美氏:
こう言うと,プレイヤーのみなさんからは,「え? 南蛮貿易で稼げなくなるの?」と,ネガティブな印象を持たれると思います。これに対しての我々の出した答えがヨーロッパ圏の強化で,具体的にはヨーロッパ圏の既存の街に36品目の交易品を追加します。
4Gamer:
ヨーロッパの交易品が増えるということにちょっと驚いてますが,36品目も追加されるというのも,また大きいですね。
渥美氏:
ヨーロッパは,バランスが固まっていたので,交易品にはあまり手を入れていませんでした。今回,街の交易所に追加される新たな交易品にで,これまで店売りされていなかったもので,初めて登場するものがいくつかあります。属性としては交易品なんですけれども,それが交易所で購入できなかったもの……そう考えると,いくつか絞れてくるかもしれないですね。
4Gamer:
つまり,例えば上陸地点で収集できるもの……とかでしょうか。
竹田氏:
そうです。例えば,調達などでしか手に入らなかったものが,限定的に売られるようになります。
渥美氏:
また,本来なら異なる文化圏の名産品だけれど,その町で売っていてもおかしくない,というようなものが追加されます。これによって,そんなに遠くまでいかなくても,名産品の判定が得られる可能性も出てくるということですね。
4Gamer:
近距離で名産が付くものを押さえておけば,名産品コンボもやりやすくなりそうですね。
渥美氏:
ですので,例えばペルシャの名産品がヨーロッパ近郊の街に登場しているということもあります。これによって,よりヨーロッパで稼ぎやすくなりますから,ヨーロッパで近距離の交易をやろうとする初級から中級者にとっては,良い交易品となるでしょう。
竹田氏:
もちろん単にNPC売りで稼ぐだけではなくて,例えば生産の材料が新たに売られることによって,物流が変わったりといったこともあると思います。
4Gamer:
上陸地点までいかなくても,街中で生産材料が手に入るのは良いかもしれません。
上級者は大きい船を持っていると思いますが,今までその大きい船は全部,南蛮貿易での利用一択という状況になっているのでは。その大きな積載量を使って,かつ新たに追加されたヨーロッパの交易品を上手く使うことによって,新たな交易ルートが出てくる可能性があります。そこは,プレイヤーの動向を見てみたいなと思っています。
竹田氏:
動向次第では,ヨーロッパ以外に広げていく可能性も当然あります。現実でも,時代が進む事によって,いろんな交易品が特産物として,別の地域で流通していたりしますから,そういうことを表現できればと思います。
渥美氏:
南蛮貿易の調整に関しては,結構センシティブな部分なので,今回のインタビューで噛み砕いた形にして,告知したほうが良いと考えました。
4Gamer:
たしかに,ややネガティブにも感じられる変更だけに,説明なしではプレイヤーも戸惑いそうです。
竹田氏:
当初,南蛮貿易を入れた時は,リアルな世界と同様に先行者利益みたいなものがありましたが,Chapter4からは,戦略性を求められる交易になっていくと考えてください。四つの文化圏をうまく使って儲けるといった,これまでの最初のうちは誰でも儲けられるというものから,より上手く立ち回った人が儲かる形に変わっていってほしいと思います。
渥美氏:
稼ぎという部分でお話ししておきたいのが,実はプレイヤーからの要望で最近多いのが,所持金の上限を増やしてほしいというものです。この背景には,南蛮貿易によって大金が入手できるようになったことが間違いなくあります。
では,なぜ我々が所持金の上限を拡大するという単純な方策を採らないのかというと,一番気にしているのは,上級者と初心者の差が大きく開きすぎてしまうことです。
4Gamer:
お金稼ぎに慣れたプレイヤーと初心者ですから,実際にそうなりそうですね。
渥美氏:
ですので,この上限を上げてほしいということは,ニーズとして理解していますが,優先順位としては後になると思います。まずは,南蛮貿易の利益を適正な形に調整して,かつヨーロッパに,交易の楽しみが出るようにしてから,様子を見ていこうと考えています。
竹田氏:
El Orienteで可能性は広がりましたが,初心者と上級者もプレイの幅が増えた分,上級者は上手く立ち回るので,差が開いたという感じがあります。
前回のアップデートで,副官船長のレベル制限を取払ったのもそうですが,なるべく差が広まらないようにといったところを今は気をかけています。
渥美氏:
続いて国家バランスについてですが,これも手段としては,先ほど説明した交易品を追加することで実現している部分があります。具体的にどういう方策をしているかというと,いま小勢力国家と言われている国の領地に,その国専用の交易品を追加するというものです。
4Gamer:
それは同盟港は含まなくて,領地のみですか?
渥美氏:
これは悩みどころなのですが,対象を同盟国にすると,そこを大国にとられてしまうという状況が出てしまいます。
この国家のバランスに手を入れようと思った理由の一つは,ある程度,バランスは均衡したほうが楽しいだろうというものです。もう一つが,時代背景的なもので,いよいよ大航海時代 Onlineもイスパニア,それからポルトガルが全盛だった時代から徐々に,新興国の時代に移っていく,そんな時代背景があります。それにふさわしいちょっとした味付けをしたいなと考えたわけです。
4Gamer:
なるほど。
渥美氏:
ここで誤解されたくないのが,ゲーム内をその流れに強引に持っていきたいわけではないということです。
例えば,○○ワールドでは相変わらずポルトガルやイスパニアが強い,その一方で,新興国が物凄く強くなったワールドもあった! みたいな,プレイヤーさんが遊ぶ世界に応じた変化があっても良いと思うんですよ。
4Gamer:
つまり,今の不動の3強時代から,変化する可能性が出てくると。
渥美氏:
そうです。その“変化する可能性”が重要なんです。
大航海時代 Onlineは,時代背景を忠実にゲームに落とし込んでいましたが,その過程でポルトガルやイスパニアはすごく有利になっていると言われています。しかし,アップデートや拡張パックを経て,ゲーム内の時代も進んでいるので,新興国が強くなることも,実際の歴史のように信憑性を帯びてくると思うんですよ。
4Gamer:
拡張パックやそれぞれのChapterで,歴史が動いていたと考えれば自然ですね。順番や時代はともかく,世界周航達成や日本到達とまさに歴史を刻んでいますし。どんな変化があるのか,いわゆる小国3か国のプレイヤーには気になるところです。
渥美氏:
そして,最後の三つ目のバランス修正にあたるのが,レアアイテムの供給バランスです。これはさきほど話していた“大砲職人の鍛錬具”に関連する話ですが,単純に今までがレアすぎたので,供給量を増そうと思います。
竹田氏:
具体的には,ドロップするNPCが増える,ドロップ率が変わる,新たな入手手段が登場する,という三つで構成されています。
渥美氏:
レシピについても,生産がしやすくなる調整もあれば,その先のアイテムの強化がしやすくなる調整もあります。ただし,大砲と同じように上限はきっちりと設けているので,ある程度は同じ土俵で戦える余地は残しておく。こういったバランシングになります。
4Gamer:
なるほど。これで現状のレアが入手しやすくなることは,さっきの上級者と初級者の差を大きくしすぎないように,ということにもつながりますね。
渥美氏:
そうです。レアアイテムについてはもう一点,ドックの拡張アイテムについて話しておく必要があります。これは,プレイヤーのみなさんからもかなり指摘されている部分なのですが,このアイテムが非常に入手しづらいんです。
4Gamer:
なぜそこまで入手しづらくなっていたのでしょうか?
渥美氏:
ドックの拡張アイテムは,1回で拡張が完了してしまうものです。そのため,できるだけレアな形にしておいて,プレイヤーに見つけてもらおうと考えていたのですが……。
4Gamer:
思った以上に,見つけづらかった――見つけられなかったと。
渥美氏:
思った以上に厳しかったようですね。副官船長やフリースタイル造船などが入ったこともあり,全般的に所有できる船の数に対して,窮屈感が高まっていたので,本当にプレイヤーからは期待されているアイテムだったと思います。
それが,結果的には上手く流通できなかったので,申し訳なく思っています。
なので,ドック拡張のアイテムに関しても,先ほどの鍛錬具と同じような形で,入手できる方法が広がり,あとはNPCからドロップする確率も高めます。
4Gamer:
それは嬉しいですね。
渥美氏:
現在の入手の難しさは,ノーヒントで探せと言われたら,都内に行って横浜に帰ってきたらカギを落としてて,それを探すくらいの難しさかもしれません。
4Gamer:
それってノーヒントでは事実上不可能では?(笑)
竹田氏:
そうですね。本当にそのぐらい難しいです。
渥美氏:
ですので,一つだけヒントを出すと,NPCは,みなさんがあまり立ち寄らない海域にいます。
4Gamer:
なんとなくいくつかの海域が思い浮かびますが……。
竹田氏:
「あのイベント」のときにしか行かなかったんじゃないかな? という場所ですね。
これは結構,ヒントになるかもしれないです。実は,ここでアイテムが手に入ると言ったら,みんなが十中八九,「ええ!?」というような場所です。
竹田氏:
しかもそのNPCの名前が,どこにでもいるような,なんの変哲もないNPCなんですよ。そのうえ,アイテムはレアドロップで。
4Gamer:
なるほど……NPCを見かけても,その海域とNPCが“当たり”かどうかは,戦って,さらにドロップするまで分からない。それは厳しいです。
渥美氏:
レアドロップというところがミソですね。もうちょっとメジャーな海域だったならば,もしくはそれこそ旗付きのNPCとかだったら,誰かが倒して報告もあったかもしれませんが。
竹田氏:
これは本当に申し訳なかったです。ちょっと難度を高くしすぎました。
4Gamer:
このインタビューの掲載後に,めったに踏み入れない海域にプレイヤーが集まっているかもしれませんね(笑)。
竹田氏:
ただ,10月5日のChapter4まで待てば,もう少し手に入りやすくなるので,そちらを待ってもらっても良いと思います。
渥美氏:
そうですね,Chapter4の実装まで待てば,本当に入手の手段は広がりますので。
4Gamer:
分かりました。とはいえ,いったいどこの海域の,どのNPCから手に入るのか,Chapter4での入手手段とは別に探してみたい気もしますね(笑)。
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