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[E3 2005#005]待望の「Quake 4」が,ついにそのベールを脱いだ!
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印刷2005/05/19 02:00

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[E3 2005#005]待望の「Quake 4」が,ついにそのベールを脱いだ!

 1997年にid Software社が発表した「Quake II」は,その前年にリリースされて本格的なFPS時代の口火を切った「Quake」の名に恥じない,名作として知られている。1999年にリリースされた「Quake III Arena」は,マルチプレイヤーモードに特化されていたためストーリー性はほとんどなく,Quake IIで終わった物語の続きは,待ちに待った「Quake 4」で描かれることとなる。

 Quake 4の開発は,id Softwareとは兄弟のような蜜月関係にあるRaven Software社が手がけており,PCだけでなく,Xbox 360用にも同時に開発が行われている。
 もちろん,リアルな影の描写で定評のある「DOOM III」ゲームエンジンをベースにした作品で,さらなるチューンナップにより広大な地形のレンダリングも可能になっている。また敵や味方のAI,ネットワークコードなども改良されているとのこと。何よりスピード感と臨場感のあるコンバットアクションの要素を取り入れたことで,今までのシリーズとは一線を画した作品へと生まれ変わった。
 さて,E3に先立って行われたActivisionのプレスイベントで,このQuake 4がようやく公開された。プレス向けのクローズドなカンファレンスで,画面もムービーも一切撮影不可だったが,「文字情報なら構わない」とのことなので,まずは速報としてお伝えしよう。

 では,今回行われたムービーデモを,順を追って説明していこう。
 最初に映し出された映像は,マリーン兵士の横顔。「DOOM III」のモデリングと比べて際立つほどの変化はないようだ。しかし,徐々に兵士の顔が回転して正面を向くと,反対側の目玉はすっかりくり抜かれているのに気づく。さらに,上半身以外は無残に切断されており,上半身だけが宇宙に漂っていたのだった。
 いきなりショッキングなオープニングだが,やがてその死体の背景には,無数の亡骸や宇宙船だったものらしき鉄屑が無数に流れていく。その数はあまりに多く,まるで土星の輪のように惑星の軌道を回っているのである。そしてQuake 4のロゴが,汚染物質風の黄緑色の蛍光色をバックに浮かび上がってくるのであった。
 この残骸を突き抜けて,輸送船が3台押し寄せてくる。目指すは,赤茶けた大地で覆われたストロッグの惑星Stroggosである。その一隻,Patton号の中にはRhino Squadと呼ばれる地球人の一師団が乗り込んでいた。内部は両側に5人ずつのマリーン兵士が座っており,新入りであるプレイヤーキャラクターに先輩が悪態をついているようだ。
 そういえば,Quake作品では初めて,主人公に名前がついた。マシュー・ケーン(Matthew Kane)という,これまでのid Software作品ではあまり見かけない細身の若者だ。口の悪いマリーン達の仲裁に入った軍曹が,マシューに戦争の心がけを話すという趣向で,手短なブリーフィングを行う。

 Quake IIをプレイした記憶のある人なら,その顛末はご記憶のことだろう。地球を急襲して乗っ取ってしまった魔の宇宙人ストロッグを粉砕する最後の手段として,地球軍の生き残りは敵地に乗り込むことで打開を図ろうとする。一人のマリーン,つまりプレイヤーが見事に防御網をくぐり抜け,惑星のディフェンスシステムを破壊し,死闘の末に敵将マクロンを破ったところでQuake IIのストーリーは終わっていた。
 本作では,その後に送り込まれた地球軍の第二波が,Stroggosに上陸して決戦に挑むのである。ところが,前述の軍曹の話に耳を傾けている間もなく,熱誘導ミサイルが輸送船を急襲し,何とか切り抜けようと試みるも,大気圏に突入した時点で命中してしまうのだった……。

 しばらくして目を覚ました主人公。外は4本足で赤と黒という色彩のクモ型ロボットが徘徊し,ちょうど「Half-Life 2」でのストライダーとの戦争シーンを見ているかのよう。赤い岩がむき出しの広大な屋外には,すでにほかの部隊も展開しており,アチコチで戦争が行われているような臨場感がある。これまでのQuakeとは異なり,一人で戦っているのではないような現代風な味付けた。
 朦朧としたマシューに話しかけてきたのは,Badger Squadのマークを付けた別の軍曹だった。どうやら,なんとかStroggosに不時着してしたものの,仲間とははぐれてしまったようだ。この軍曹に,Rhino Squadと合流するためには地下基地を通って行くべきだと勧められる。
 この地下基地は,DOOM IIIの舞台によく似たパイプがむき出しの回廊だ。ストロッグはウヨウヨという感じではなく,2,3匹ごとに待ち構えていたり,ときたまバーサーカーが壁を突き破って襲い掛かってきたりというような戦いとなる。周囲にはBadger Squadの兵士達がおり,プレイヤーと連携しながら進むこともあれば,スクリプトシーンで殺される役割で登場することも。
 この地下基地で10分ほどの戦いを行い,やがて負傷兵の多いRhino Squadと合流する。その後仲間達と屋外へ出ると,そこには大気圏外へと発砲していると思われる,何十メートルもの巨大なミサイルタレット砲が数機建ち並び,またホバークラフトが岩山をなめるように進みながら爆撃している。トレンチを進み,入ったところで軍曹からタレットを破壊するように指示されるが,このデモはここで一旦終了する。

 三つ目のシーンはゲームプレイのないスクリプトシーンだが,実は非常に重要なシーンでもある。プレイヤーが柩のような台座に固定され,ベルトコンベアでそのまま手術室へと運ばれていく。足を切断されて機械義足へと取り替えられ,胸に穴を開けられて胸部と腕にプレイトを装着され,さらには脳に巨大な注射針を刺されてシリンダーの中に放り込まれる。まるで,自分の体が傷つけられているような痛々しいほどの映像だったが,要するに主人公がストロッグへと改造されているのだ。
 プレイヤーキャラクターは,完全にストロッグになる前に無事に救助されるのだが,ストロッグが,実は地球人だった(?)という設定にはちょっとした驚きを覚えた。本作のプロデューサーを務めるTim Willits(ティム・ウィリッツ)氏の話によると,主人公は人間の心とストロッグの肉体を共に持つことで,後々のストーリーでは,緊迫する地球軍において重要な役割を担うことになるのだという。

 最後のシーンでマシューがドアから屋外に飛び出ると,「ウォーカー」と呼ばれる二足歩行の小型ロボットが置かれており,プレイヤーはこれを操作して進んでいく。非常に強力な武器を搭載しており,立ちはだかるストロッグやタレットは数発で破壊できる。
 砦の外へ出て仲間のウォーカーやホバーなどのメカ師団と合流した場面で,再びクモ型ロボットが登場する。必死の抵抗もおよばず,このロボットの足で刺し殺されるシーンですべてのデモは終了した。



左から,ティム・ウィリッツ氏,トッド・ホレンスヘッド氏,ブライアン・ラフェル(Brian Raffel/Raven Software社社長)氏,グラハム・ファチス(Graham Fuchs/Activision社総合プロデューサー)氏
 このデモの後,id SoftwareのTodd Hollenshead(トッド・ホレンスヘッド)氏は,「Quake 4は,デモを見ればお分かりのように,大きな屋外マップをレンダリングできるようにDOOM IIIを改良したのです」と説明する。デモに上から見下ろしたようなシーンはなかったものの,確かに屋外での戦争シーンも多分に取り入れられ,周囲で常に仲間が戦っていることで,「Battlefield」や「Call of Duty」に見られる作風をSF化したようなゲームに仕上がっている。全体的にスピード感があり,DOOM IIIで失われたid Software系本来のゲーム性に戻そうという努力が見られるのは好感がもてた。
 ただちょっと気になったのが,1シーンで登場する敵キャラクターの絶対数が,実に少ないこと。これに関してウィリッツ氏は,「これは話の流れが理解できるようなデモを作ったためで,実際にはストロッグが四方八方から飛び出してくるようなシーンも多い」と説明した。

 今回,グラフィックス以上に改良の重点が置かれたのが,複数のNPCと同時進行することによる自軍や敵のチームタクティックス,そしてオブジェクトを利用した防御や味方のカバーといったAI関連。そして,より快適なマルチプレイヤーモードを実現するためのネットワークコードの一新であるという。
 残念ながら,マルチプレイヤーモードの詳細は「QuakeConまでお預け」(ウィリッツ氏)ということで,これ以上聞き出すことはできなかったものの,ウォーカーやホバーを操縦することが可能になることから,Battlefield風の遊びになるということは推測できるし,少なくともDOOM IIIの反省を生かした軽くテンポの良いものに仕上がるのは間違いなさそうだ。
 また,武器はロケットランチャーやレイルガン,ライトニングガンなどQuakeシリーズではお馴染みのスタンダードなものがほとんどになる模様。また,詳細には触れられなかったが,今回は「Weapon MOD」というシステムで,ある程度武器の性能が改良できるようだ。それに加え,プレイヤーがストロッグに改造されるという設定から,シングルプレイヤーモードではストロッグの武器も使いこなせるうえ,「スーパーウェポン」という強力な兵器のカテゴリも存在することをウィリッツ氏は示唆していた。

 Activisionによると,Quake 4は2005年の第4四半期にはリリースされる予定になっている。今回のE3ではプレイアブルなデモの予定はないとのことだが,ウィリッツ氏らはQuakeConでデモ,もしくはマルチプレイアブルなデモの公開があることを示唆しており,「Hexen」を11か月で作り上げたRaven Software社の開発能力を考えると,可能性は十分にあるだろう。
 コンバットアクションの要素を加味しながらも,シリーズらしいグロテスクさを持ち合わせたQuake 4。あと半年ほどで満喫できそうだ。(奥谷海人)

  • 関連タイトル:

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