インタビュー
日本運営チームに聞いた「リネージュ」の2018年。「ラスタバド廃墟(仮)」と「支配の塔(仮)」という2つの大規模アップデートが実施予定
今回,「リネージュ」の運営を手がけるエヌ・シー・ジャパンの運営プロデューサー川南 巌氏に2018年の主要なアップデート内容と,日本運営チームが目指すリネージュの“今後”について聞いてみた。
※2月14日,画像を追加しました。
16周年を祝うイベントと同時に新規で始める人向けのチュートリアル・リニューアルも実施
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,少し早いですが16周年おめでとうございます。
ありがとうございます。2002年2月12日に正式サービスを開始し,現在は7つのワールドでサービスを展開していますが,今年も無事2月を迎えられるのは,日頃よりご愛顧くださっているプレイヤーの皆さまのおかげです。
4Gamer:
オンラインゲームの黎明期から続くタイトルが,今も現役で,安定的なサービスと定期的なアップデートを続けているのはすごいと思います。ただ,それはやはりプレイヤーがいてこそ成り立つものですからね。
川南氏:
本当にそうです。プレイヤーの皆さんへの恩返しとして,ささやかですが今年も「周年イベント」を実施いたします。
4Gamer:
昨年の周年イベントは,2月から3月にかけて行われていましたね。
川南氏:
今年も2月7日の「16周年前夜祭」からキャンペーンを開始し,2月14日から本格的なイベントとキャンペーンがスタートします。詳しくは特設ページで確認していただいたほうが分かりやすいと思いますが,今年はそれだけではないんです。
4Gamer:
何か特別な仕掛けがあるのでしょうか?
川南氏:
キャンペーンの一環として経験値アップイベントを行うと同時に,2月7日に「Initiation」という初心者ゾーンにアップデートが入り,それに伴い新規・休眠ユーザー向けのキャンペーンも行います。
周年イベントというと,現役のプレイヤーの皆さん向けの印象が強いと思いますが,新規で始める方も楽しめるようになっています。
4Gamer:
昨年のインタビューでは,チュートリアルエリア「クラウディア」以降の導線に問題があって,改善したいという話をうかがっていましたが,このタイミングでアップデートされるんですね。クラウディアは対象のプレイヤーしか入れないエリアで,クエストベースで進行する形でしたが,Initiationではどんなチュートリアルが行われるのでしょうか。
川南氏:
クエストを進めながらレベルアップしていくのは同じですが,昔ながらの初級エリア「話せる島」が初心者向けにリニューアルされます。ここは誰でも入れるマップなので,交流しながらプレイできるのが特徴です。
4Gamer:
クラウディアでは,クエストをこなしていくだけでレベル55まで5時間ほどで育成できてしまい,チュートリアル後は実際のゲームプレイとのギャップが激しかったとのお話しでしたね。そのあたりは改善されたのでしょうか?
川南氏:
内部でテストした感覚だと,リネージュのシステムを理解していただけるようなしっかりとしたチュートリアルになったという感じですね。クエストのないレベル帯もあり,リネージュらしく“狩り”をして経験値を稼ぐ必要も出てきます。
4Gamer:
リネージュの実際に沿ったチュートリアルになったわけですね。
川南氏:
はい。実践的にリネージュの基本的なプレイが学べるようになっていて,なかには「モンスターを狩って特定のレベルを達成せよ」といったクエストもありします。血盟加入による経験値獲得ボーナスを前提としたバランスだったりするので,もし話せる島で血盟無所属の初心者の方を見かけたら,ぜひ声を掛けてあげてください。
4Gamer:
日本のリネージュは,PvPが可能だったり,逆にPvPができないPvE専用だったりとサーバーによって特徴があるので,新規で始める際はきちんとサーバーを選んでスタートしたほうがいいかもしれませんね。
川南氏:
それもありますが,今年中を目処に「ワールド移転サービス」の実施も検討しているので,まずは気軽にプレイを始めてもらえると嬉しいです。
2018年は「ラスタバド廃墟(仮)」と「支配の塔(仮)」2つの大規模アップデートを予定
4Gamer:
気になる2018年のアップデート計画ですが,現段階で話せることがありましたら教えてください。
現段階では,大きなアップデートを2つ予定しています。そのうちの1つ「ラスタバド廃墟(仮)」は2018年の夏ぐらい,もう1つの「支配の塔(仮)」が年末ぐらいの導入で調整しています。
4Gamer:
それではラスタバド廃墟から,詳しい解説をお願いします。
川南氏:
ラスタバド廃墟は,現在攻城戦が行われている「ギラン」「ケント」「オーク要塞」それぞれから入場できるダンジョンとなっています。
4Gamer:
つまり,その3か所のうちどれかを所持している血盟が入場できるということですか。
川南氏:
はい。かつてダークエルフの拠点となっていた“ラスタバド”という場所があったのですが,ストーリーの進行で一度滅びていて,ラスタバド廃墟ではアンデッドがモンスターとして出現します。
4Gamer:
プレイヤーはどういった目標を持ってこのラスタバド廃墟に向かうのでしょうか?
川南氏:
リネージュには,最上位のレジェンドクラスの武器が2系統あります。忘れた島のレジェンド武器と,以前あったラスタバド系統のレジェンド武器です。ですが,ラスタバドが滅びたことで,ラスタバド系統の武器を作れなくなっていたんですね。
4Gamer:
ラスタバド廃墟が導入されたあとは,そのラスタバド系武器が復活すると?
川南氏:
ええ。ラスタバドが滅んだときに「復活しない」と当時の開発チームが言っていたりもしたのですが(笑)。ラスタバド系には,真冥王の執行剣など非常に人気の高い武器がありますので,復活することで喜んでくださるプレイヤーさんは多いんじゃないかと思います。
4Gamer:
真冥王の執行剣の入手は相当険しい道になると思いますが……それでも,大きな目標にはなるでしょうね。そういえば,昨年7月の「VALAKAS」アップデートで登場したドラゴンスレイヤーが,将来的に真冥王の執行剣になるとの話でしたよね。
川南氏:
確定はしていないのですが,ラスタバド廃墟の導入と同時にドラゴンスレイヤーは真冥王の執行剣に統合されるアップデートを行うと思います。
4Gamer:
ちなみに,ドラゴンスレイヤーはどれくらいのプレイヤーが手に入れているのでしょうか?
川南氏:
皆さんがんばってドラゴンを討伐していて,思った以上の数のドラゴンスレイヤーが生産されています。真冥王の執行剣の数より多いくらいですね。また,以前お伝えしたとおり,レジェンド武器全般で強化に失敗しても消えないドラゴンスレイヤーと同じ強化システムになりますので,一度作ったレジェンド武器は,安心してどんどん強化していってください。
4Gamer:
今まで入手自体が目的だったものが,入手してからどれだけ強化できるかに目的のステップが上がったという感じですか。
川南氏:
武器の素材集めと並行して,強化に使うドラゴンの心臓も集めておくと良いかもしれません。
4Gamer:
時期的にまだ準備も行っていない状態だとは思いますが,支配の塔について話せることはありますか?
川南氏:
韓国仕様の話になってしまいますが,インターサーバーを用いて行うワールド対抗の抗争型コンテンツです。
4Gamer:
インターサーバーの仕組み自体は,昨年実装されたものですよね。
はい。全ワールドではなく,特定のワールド同士になりますが,決められた入場時間に各ワールドから同じマップに移動して,一緒に狩りができるシステムとなります。
マップは傲慢の塔のグリムリーパーが更なる力を蓄え,新たに建立した塔という設定で,傲慢の塔とは別に“支配の塔”という新しいエリアが作られます。傲慢の塔のパワーアップバージョンと考えてもらうと分かりやすいかもしれません。
4Gamer:
お話を聞いていると,傲慢の塔よりも高い難度になるのは間違いなさそうですね。
川南氏:
それはもちろんです。加えて,傲慢の塔と同じく各フロアにボスモンスターが出現するので,誰が一番最初に発見し,討伐できるかといった競争要素も存在します。また,支配の塔のみで獲得できるネームドレアもありますので,熾烈な競争が予想されます。
4Gamer:
実にリネージュ“らしい”コンテンツになりそうです(笑)。
川南氏:
もともと韓国の「忘れられた島」は,インターサーバーの仕組みを使ったワールド対抗コンテンツでした。ですが,日本の忘れられた島は,日本運営チームの判断で,みんなで狩りをして楽しむ普通のマップとして実装したんです。そうした経緯から,支配の塔もインターサーバーではなく,普通のマップで実装してほしいとの要望が出るかもしれないなと考えてます。ただ,現段階ではインターサーバーで実装すべく開発と仕様を詰めている段階です。
4Gamer:
誰にもジャマされずに狩りをしたいと思うプレイヤーもいるでしょうから,どちらにするのか判断は難しそうです。実装まで時間があるので,プレイヤーからのフィードバックも判断材料にはできそうですね。ちなみに,インターサーバーで実装するとして,競争に勝つために今から準備しておけることはありますか?
川南氏:
入場には既存の「傲慢の塔コントロールアミュレット」系列のアイテムが必要になるので,スタートダッシュをかけたい場合は事前に用意しておくと良いと思います。
4Gamer:
分かりました。2つの大規模アップデート以外で,何か実装を予定しているものはありますか。
川南氏:
今年は,大きなアップデート以外にも細かなものを入れていこうという方針を立てていまして,大体2〜3か月に一度は新要素を追加していきたいと考えています。具体的には,狩場のリニューアルや,クラススキルなどのアップデート,高レベルの変身追加などです。
4Gamer:
2月から3月はInitiationアップデートと周年イベントがあり,夏ごろを予定しているラスタバド廃墟の前にもう1つくらいアップデートがあり,支配の塔実装までの間にも何らかのアップデートが行われる,という流れですね。
川南氏:
相性が良いアップデートをまとめて実装することも考えているので,細かなアップデートは,導入する順番が必ずしも韓国と同じにはなりません。そこは注意していただければと思います。
2018年の運営方針は,プレイヤーの「目的」をサポートすること
4Gamer:
今年初めてのインタビューなので,2018年の運営方針についても教えてください。
昨年は「改善」をテーマに運営を行ってきました。これについては,まだまだ至らない部分も多いので,プレイヤーの皆さんが遊びやすい環境を整えるべく,改善を継続してまいります。加えて,今年は新たに「目的」というテーマを掲げました。
4Gamer:
“目的”というのは,どういった内容を指すのでしょうか。
川南氏:
リネージュの序盤の目的は「キャラクターの育成」になると思いますが,そこから血盟に加わったり,狩場でボスモンスターをめぐってほかのプレイヤーと協力/競争したりすることが次の目的となり,最終的にPvPや血盟戦といったコミュニティレベルの目的を持つことが基本的なデザインとなっています。しかし,日本ではPvPを最終目標にするプレイヤーはそれほど多くはないんです。
4Gamer:
確かに,キャラクター育成やアイテム収集がメインのプレイヤーは多いでしょうね。
川南氏:
そうした,いわゆるハックアンドスラッシュ要素の強いゲーム性を求めるプレイヤーにとっては,最終目的となるPvPへの興味が薄いわけで,その結果として継続が難しいゲームになってしまっているんです。
4Gamer:
もともとの開発コンセプトがそうであったとしても,運営している側としては,ゲームの方向性とプレイヤーの志向性のズレは看過できない問題としてあると考えているわけですね。
川南氏:
ここ最近,開発が提示する目的は,先に言ったようなPvP関連のものが多く,日本のプレイヤーが求めてるようなハックアンドスラッシュ要素はおざなりで,場合によっては,狩りをするほどプレイヤーが赤字になるようなケースもあります。これは日本のリネージュにとっては危機だと感じていて,我々運営チームができることは何なのか,しっかり考えて行動していきます。
4Gamer:
とはいっても,レアアイテムが1つドロップしただけでテンションが上がるゲームでもありますし,狩りをするだけで赤字になるバランスさえ解消できれば,目的はプレイヤー自身が見つけてくれるような気はします。
川南氏:
そうですね,トップランクの方々はそれぞれ自身で目的を設定してプレイされています。ですが,システム側でもそうした目的をフォローできるのが理想だと思ってます。
4Gamer:
分かりました。では最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
川南氏:
リネージュのモバイル版もリリースされ,「リネージュ」の名を耳にする機会も多いと思います。2月7日アップデート「Initiation」は初めてプレイされる方に向けたコンテンツとなっていますので,もしリネージュというゲームに関心が芽生えましたら,ぜひアデンの世界にいらしてください。
また,2018年はハイレベルコンテンツの実装が多く予定されており,現役プレイヤーの皆さんにとっては,興味を刺激する年になるはずです。17年目のリネージュも変わらぬご愛顧をいただけますようよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「リネージュ」公式サイト
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