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[GDC 2012]ソーシャルゲームの主戦場はモバイルへ。Papaya Mobileが語る「成功するフリーミアム型ゲームの秘訣」
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印刷2012/03/07 17:44

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[GDC 2012]ソーシャルゲームの主戦場はモバイルへ。Papaya Mobileが語る「成功するフリーミアム型ゲームの秘訣」

オスカー・クラーク氏
画像集#002のサムネイル/[GDC 2012]ソーシャルゲームの主戦場はモバイルへ。Papaya Mobileが語る「成功するフリーミアム型ゲームの秘訣」
 世界中のゲーム開発者達が集まるGDC 2012だが,今年の大きなトピックの一つは,なんと言ってもモバイルソーシャルゲームにまつわる話題だろう。そんな中,全世界で5500万アカウントを誇るソーシャルゲームサービス「Papaya Network」を運営するPapaya Mobile関連記事)から,エヴァンジェリストのオスカー・クラーク(Oscar Clark)氏が講演を行った。

 「Mobile Social Games - The Design Secrets of Successful Freemium Games」と題されたこの講演は,開始前に長蛇の列が出来るほどの人気ぶりで,当然,会場内も満員御礼に近い状態。これは,モバイルソーシャルゲームに対する開発者達の関心度の高さの表れだろう。

画像集#001のサムネイル/[GDC 2012]ソーシャルゲームの主戦場はモバイルへ。Papaya Mobileが語る「成功するフリーミアム型ゲームの秘訣」

 ちなみにPapaya Mobileは,2008年に中国で生まれた新興のゲーム会社で,スマートフォンに特化してソーシャルゲームを展開している点が大きな特徴だ。主にAndroid向けに300を超えるタイトルを提供しており,2012年3月の時点では,同社が運営する「Papaya Network」のアカウントが5500万を突破しているなど,昨今,急成長しているサービスの一つだ。FacebookなどといったSNSサービスに依存していない点もポイントで,簡単に言ってしまえば,要するに海外版のグリーやディー・エヌ・エーみたいな会社である。

 講演の内容は,AppleのApp StoreやAndroid Marketの状況など,スマートフォン市場の輪郭をなぞりながら,モバイル&ソーシャルゲームにおける“基本”をおさらいしていくというもの。ソーシャルゲームプレイヤーと既存のゲーマーとの属性の違いや,課金するうえでの注意事項などがまとめて紹介された。

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 なかでも興味深かったのは,北米における「Casual Social Gamer」の年齢層が極めて高いというところだろうか。いわゆるコアゲーム層と比べると,女性が多めになるというのは分かりやすいが,50歳以上のプレイヤーが43%にのぼるというのは,日本のソーシャルゲーム市場とは大きく異なるところだろう。クラーク氏も,「従来とはまったく違う顧客だということを,まず理解しなければならない」と繰り返し語る。

性別と年齢を,カジュアル/コアゲーマーでクロスした場合の表が掲載されたシート
画像集#007のサムネイル/[GDC 2012]ソーシャルゲームの主戦場はモバイルへ。Papaya Mobileが語る「成功するフリーミアム型ゲームの秘訣」

表部分を拡大してみる。一番下の行にある50+(50歳以上)のカジュアルプレイヤーが43%を占めているのが分かるはず
画像集#008のサムネイル/[GDC 2012]ソーシャルゲームの主戦場はモバイルへ。Papaya Mobileが語る「成功するフリーミアム型ゲームの秘訣」

 「既存のゲームとの違いを知れ」「既存の概念を捨てよ」というのは,日本におけるソーシャルゲームの講演でもよく聞くスローガンだと思うが,50歳以上のプレイヤーが40%,40歳以上のプレイヤーを含めると,実に中年〜年配層が60%を超えるゲーム市場というのは,正直,いまいちピンと来ないのも確かだろう(データの収集方法にも理由がありそうだが)。
 このデータは,Facebookなどを中心としたPCソーシャルゲームのものと思われるので,モバイルが中心の日本のソーシャルゲーム市場との単純な比較は出来ない。しかし,海外においても,ソーシャルゲーム市場のメインストリームがPCからモバイルへと変化しつつある昨今,市場の趨勢がモバイルへ移行していく過程で,プレイヤー層がどう変化していくのかが今後の焦点の一つになっていくのは間違いない。

画像集#009のサムネイル/[GDC 2012]ソーシャルゲームの主戦場はモバイルへ。Papaya Mobileが語る「成功するフリーミアム型ゲームの秘訣」

 もう一つ,本講演でトピックとして挙がっていたのが,“ソーシャルゲームならではの課金方法”についてだ。
 ただ,こちらも国内ではすでに既知の話題が多かった印象。例えば,課金対象としては,時間の短縮やブースト系,あるいはゲーム中のリスクを軽減するような消耗品が有効なことや,一方でそうした消耗品は短期的には儲かるが,ロングスパンで見た場合にはリスクになることなどが挙げられた。
 また,最初の1ドルを使わせるまでがとにかく重要で,そこの障壁となるものを極力取り除き,報償も多めに設定することが重要であること,無料で遊んでいるユーザーがとても大切で,彼らを弾いてはいけないことなど,フリーミアム型のサービス全般に共通する話が続いた。

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 ともあれ,講演の詳細については,合わせて掲載しているスライドを見てもらったほうが早いと思うが,正直なところ,内容それ自体は,おそらく日本の読者や開発者にとって目新しいものではないだろう。
 講演内容も,モバイルとソーシャルの都合の良いところをかいつまんで話したという印象で,“モバイル向けソーシャルゲームならではの知見”をあまり聞くことができなかったのは少し残念である。

 しかし,重要な点は講演の内容よりもむしろほかにあるのかもしれない。というのも,この講演に多くの聴衆が詰めかけていたことからも分かるように,今年は,全体としての関心が間違いなくモバイル(とソーシャル)に向いており,しかもこの流れというか雰囲気が,まだしばらくは続きそうだということがはっきりと感じられたからだ。

 これまで,一口に「ソーシャルゲーム」と言っても,国内ではGREEやMobage(要するにモバイル主体のもの)を指し,海外ではFacebookやZynga(PC主体)を指すなど,その意味するところが若干違っていた。しかし今後は,FacebookやZynga,Papaya Networkを始め,海外の主要ソーシャルゲームメーカーが主戦場をモバイルに移していくにつれて,ソーシャルゲームはプラットフォームにとらわれない,一つの大きな流れに統合されていくのだろう。
 そんな中で,日本の企業がどれだけのプレゼンス(存在感)を発揮していけるのだろうか。クラーク氏の話を聞きながら,いろんなことが頭をよぎった講演であった。

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Papaya Mobile公式サイト

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