国内では9月21日発売。ゲーマー向けマウス「G9 Laser Mouse」ファーストインプレッション
G9 Laser Mouse
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北米での発表から遅れること1か月弱。Logitechの日本法人であるロジクールは,ゲーマー向け周辺機器ブランド「Gシリーズ」の新製品となるゲーマー向けマウス「G9 Laser Mouse」(以下G9)を国内でも発表した。「最強のカスタマイズマウス」と位置づけられ,既存の「G5 Laser Mouse」(以下G5)や「G3 Laser Mouse」を下位に従えることとなる同製品の発売日は2007年9月21日。直販サイト「ロジクールストア」での販売価格は1万1800円(税込)となっている。
G9については北米発表時に概要をお伝えしたが,国内発表にあたって,4Gamerではロジクールから追加情報を入手できたので,あらためてお伝えしたいと思う。 まず,肝心要のレーザーセンサーはAvago Technologies製の「S6090」。向こう1年間はLogitech以外に出荷されない契約になっている同センサーは,既存のGシリーズマウスが搭載する「S6006」に存在した,スキッピングやネガティブアクセルの問題が大幅に改善されているという。なお,イメージ処理能力6.4MPixels/s,フレームレートは7080fpsというスペック,秒速45〜65インチ(1.143〜1.651m,幅があるのはサーフェスによって変動するため)の速度でマウスを動かしても追従する,データは16bitフォーマットで転送するといったスペックは,G5と同じだ。
G9の底面。センサーは本体の中央よりも若干後ろ(=メインボタンから遠いほう)に配置される。センサーを囲むように配置されているのがPROFILEとMICROGEARの各ボタンだ
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ボタンはメイン×2,左サイド×2,解像度設定用×2に,スクロールホイール部の計7個(左右チルトを入れると9個)。これに加えて,本体の底面に「PROFILE」「MICROGEAR」という2個のボタンも用意されるが,これについては後述する。
「最強のカスタマイズマウス」として見た場合のポイントは,ドライバソフト「SetPoint 5.0」と,本体に内蔵のフラッシュメモリだ。G9では,SetPoint 5.0で設定した以下の設定項目を,最大で5パターンのプロファイルとしてG9側に保持できる。- 解像度設定(200〜3200dpiの範囲を200dpi刻みで,最大5段階。X/Y軸別々の設定も可能)
- ボタンの割り当て&キーボードマクロ
- ポーリングレート(125〜1000Hz。ロジクール推奨は500Hz)※マウスレート,レポートレートともいう
- 本体に内蔵するLEDの色(プロファイルごとに任意の色を割り当てられる)
PROFILEボタンと,LEDの隣に用意された[+/−]のシーソースイッチボタンにより,プロファイルを切り替えられる。標準状態で用意される3プロファイルに割り当てられているのは赤,緑,青の3パターンだ
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プロファイルの切り替えは本体底面のPROFILEボタンを押(しながら,[+/−]のシーソースイッチボタンをボタンを押)すことで行える。いまどのプロファイルが選ばれているかは,あらかじめ設定しておいたLEDの色により判別できるというわけだ。 さすがにドライバ側で処理するほかない加速設定や感度設定までは保存できないため,SetPointがインストールされていないPCで,インストールされているPCと100%同じ操作感覚(≒センシティビティ設定)は再現できない。その点は注意が必要だが,それでも,SetPointのインストールされたPCで設定した,ゲームごとのボタン割り当てや複数のマウス解像度などをまるまる持ち運べるのは,外に打って出るタイプのゲーマーにはメリットといえるだろう。
このほかカスタマイズ性という意味では,以下の点がG9の特徴である。
MicroGear Precision Scroll Wheel。これ自体は一部のLogitech(ロジクール)製マウスですでに採用されているものと同じ
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- 「幅広グリップ」と「ドライグリップ」,2種類の“グリップカバー”が付属し,好みに応じて付け替えられる
- 4g×4,7g×4の錘(おもり)が付属し,そのなかから最大4個を「ウエイトカートリッジ」に取り付けることで,G9の本体重量をベース重量+4〜28gの範囲でコントロールできる
- Logitech独自のスクロールホイール「MicroGear Precision Scroll Wheel」を搭載。カチカチとした小気味良いスクロールが可能なだけでなく,(ゲーム以外で利用するときには)クリック感がなく,画面を一気にスクロールさせられる「ハイパーファーストスクロール」機能も利用できる。切り替えは本体底面のMICROGEARボタンで行う
本体最後部に用意されたボタンを押しながら引き上げるようにすると,グリップは簡単に取り外せる。取り付けも,本体最前部にグリップを引っかけながら,マウス後方に向かって押し込むようにするだけと,実に簡単である
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G9のウエイトカートリッジには,グリップを取り外すとアクセスできる
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重量を計測してみると,195cm長のUSBケーブルを含んだ状態で本体は132g。29gの幅広グリップ装着時に161g,25gのドライグリップ装着時に157gとなっている(※ケーブルを含まない状態の公称重量は順に110g,109gだが,2個のグリップには実測で4gの差があるため,公称値の信頼度には少々難がある)。 ケーブルに違いがないとされるG5を同条件で計測すると162g。グリップを取り付けた状態のG9はG5とほぼ同じ重さであり,この状態からマウスを重くしたいという(ゲーム用途での)ニーズは,今回もあまりないように思う。 ちなみにウエイトカートリッジの重量は3gだったので,ウエイトカートリッジを取り外した状態でグリップを取り付ければ,それぞれ3gずつの軽量化が可能だ。
■正確性を重視して“つまみ持ち仕様”を採用したG9 ■デザインを一新したSetPointは好印象
本体と,幅広グリップ(左)&ドライグリップ(右)
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さて,正直なことを述べておくと,ロジクールからG9を入手したのは30数時間前のこと。当然のことながら,そんな短時間でゲームにおける使用感を語ることはできないが,それでも触ってみるといくつか気づいたことがあったので,第一印象をお伝えしておきたい。
まずはその形状からだ。サイズは幅広グリップ使用時に82(W)×108(D)×37(H)mm,ドライグリップ装着時に73(W)×108(D)×35(H)mmで,これまでのGシリーズを知るユーザーからすると,かなり小さくなった印象を受ける。G5だと同72.2(W)×130.3(D)×43.6(H)mmなので,まったく違うコンセプトの製品といったほうがよさそうだ。
上下段とも,左が幅広グリップ,右がドライグリップ。グリップの交換により,横幅だけでなく,高さもかなり変わるのが見て取れると思う。素材も異なり,幅広グリップは最近流行のラバーコート調,ドライグリップはG5のグリップをベースに,ザラザラした感じを強調したような手触りになっている
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ドライグリップを装着したところ。どこからでも軽快に押せる,小さな左メインボタンは,確かにつまんで持つ使い方を想定していると感じた
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ロジクールによれば,マウスにおいて最も重要なのは快適性と正確性で,Gシリーズを含め,従来製品はそのなかでも快適性をより重視していたとのこと。だが今回のG9では,「ゲーマーの間では,快適性よりも正確性を重視する人のほうが多かった」という調査データに基づいて,操作の正確性を重視したデザインになっているという。もっといえば,指でつまむような持ち方で正確なマウス操作をするときに,最も使いやすくなるよう設計されているのだそうだ。
2007年夏の時点で,筆者はゲームプレイにG5を愛用しているのだが,G5に慣れた手だと,さすがに最初は違和感があった。5分程度使ってみると,幅広グリップではG5のときと同じような感覚で持てるようになってきたが,ドライグリップに慣れようと思うと,ちょっと時間がかかりそうだ。 より小さなマウスのほうが持ちやすい人にとっては,ドライグリップのほうが向いていると思われるので,このあたりは個人差があるだろうが,いずれにせよ,ほかのLogitech(ロジクール)製マウスに慣れていると,感覚のリセットが必要になるかもしれない。
また少々気になったのは,サイドボタンの使い勝手。というのも,幅広グリップとドライグリップで,ストロークがずいぶんと異なるのである。とくにドライグリップでは,メインボタンに近いほうのボタンが,やや「Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0」を思わせるグリップ部へのめり込み具合を見せており,若干押しづらい。また,いずれもグリップ上でボタンがつながっているので,人によっては押し間違えることもあるだろう。新版のG5よろしく,ボタンはセパレートタイプにしてほしかったところである。
幅広グリップとドライグリップで,サイドボタンがどう異なるのかを左と中央で示した,「なら,グリップ外せばいいのでは?」と思うかもしれないが,グリップを外した状態のマウス本体は,この状態でサイドボタンを押すことがほとんど考慮されていない
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デザイン的にはWindows Vistaを意識しているような印象のSetPoint 5.0。試しに「MX Revolution」やG5を接続してみたが,認識しなかった
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このほか新しくなった点としては,SetPoint 5.0が挙げられる。発表時点では,報道関係者向けのβ版「5.00.167JP」のみが提供されているのだが,なんとこのβ版,G9専用である。SetPointはこれまで,ゲーマー向けかどうかにかかわらず共通のものが提供されてきたのだが,ロジクールによると,当分の間,SetPoint 5.0はG9専用となるようだ。
さて,SetPoint 5.0だが,従来バージョンと比べるとシンプルで「コントロールパネルらしくなった」感じである。基本的なマウスの操作設定に関する部分だと,従来のSetPointと大きな違いはないものの,LEDの色を設定したり,プロファイルに名前を付けて本体に保存したり,あるいはファイルとして書き出したりできるようになっているのは,G9用ならではといったところだ。 また,先にプロファイルはマウス底面のボタンを使って切り替えると述べたが,従来どおり,アプリケーションごとに自動変更されるようにも,SetPointから選択して指定できる。
デザインはこれまでからがらりと変わったが,操作に困ることはまずないだろう。右はプロファイルマネージャーで,設定したプロファイルのうち,どれを本体内蔵フラッシュメモリに保存するかを設定できるほか,「プロファイルをアプリケーションごとに自動切り替えにするか,本体底面のボタンを使って切り替えるか」もここで決定可能 |  |  |
「デバイスのオプション」に「ファームウェアのアップデート」という項目が用意されている。ただし発表時点では,[アップデート]のチェックボタンを押すと,従来のドライバアップデートと同じダイアログが表示されるだけで,本当にファームウェアの更新確認をしているのかはよく分からない | 興味深いのは,「デバイスのオプション」に「ファームウェアのアップデート」という項目が用意されていること。初期G5で何度かファームウェアのアップデートが行われたことを記憶している読者も少なくないだろうが,G9では標準で用意されているようだ。 「ようだ」としたのは,β版で用意された[アップデートのチェック]ボタンをクリックすると,ドライバのアップデートをチェックしに行っているように見えたため。最終的にファームウェアを検索できるようになるのか,単なる日本語訳のミスで,製品がリリースされるころには「ドライバのアップデート」になっているのかは,Logitechの開発チームのみが知るところである。
以上,駆け足で紹介してきたが,2007年9月時点におけるGシリーズの集大成……というよりは,Gシリーズを次のレベルへ引き上げるべく,いろいろと新たに挑戦しているといった雰囲気を,より強く感じる。それがゲーマーにどのような形で受け入れられるかどうか非常に楽しみだ。9月21日の発売日が待ち遠しい。(佐々山薫郁)
●関連記事 
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