YNK JAPAN,「R.O.H.A.N」プレイヤーを招いての“対話”を実施
YNK Koreaのユン・ヨン・ソク社長
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YNK JAPANは本日(10月17日),MMORPG「R.O.H.A.N」のプレイヤーを招いてのオフラインイベント「ユーザー感謝DAY」を,同社会議室において実施した。このイベントは,実際にR.O.H.A.Nで遊んでいるプレイヤーと,YNK JAPANのGMや経営陣とが,R.O.H.A.Nについてざっくばらんに語り合おうという趣旨のもの。
事前に公式サイトで行われた募集の結果,「オン」サーバーと「ロハ」サーバーからそれぞれ3人ずつ(男女3人ずつ)の,合計6人のプレイヤー代表が参加。開催日時が平日の日中ということもあり,参加を希望することすらできないプレイヤーも多かったことと思われるが,それだけに本日会場に足を運んだ人達の気合いは並々ならぬものだったのだろう。序盤から白熱した議論が続いた。 また,本日はYNK Koreaからユン・ヨン・ソク社長も列席。日本のプレイヤーの率直な感想に耳を傾けながら,サービスの現状や今後の展開について,熱く語った。
■Bot対策の現状
開始早々,おそらく全R.O.H.A.Nプレイヤーが最も気にしているであろうBotについての質問が,運営陣に向けられた。それも,「Botや,海外(とくに中国や韓国)から不正にアクセスしてくるプレイヤーを排除するつもりがあるのか?」といった厳しいトーンだ。 YNK JAPANとしては,GMが巡回するなどして対処しているほか,Bot使用アカウントや海外から不正にアクセスしてきているアカウントについては,確認次第凍結を行っているとのこと。ちなみに,同日(当日)午前11時までに,計2万1061アカウントを凍結したそうだ。
とはいえ,多くのMMORPG同様,Botや海外からの不正アクセスプレイヤーを100%排除するのは難しく,いたちごっこになりがち。実際,(Botというよりハックツールだが)パケットハッキング型のツールに対しては,パケットの暗号を一週間に一度変えることで対処しても,3〜4日で暗号が解析されるような状態だという。また,海外からの不正アクセスについても,運営側が施した対策を,その都度さまざまな手口でくぐり抜けてきているそうだ。 こうした状況を踏まえたうえでYNK Koreaのユン社長は,「一番大事なのは,Bot対策に力を入れる意志があるかないかであり,当社にはその意志がある」「Botを100%排除することはできないかもしれないが,世界で一番Botが少ないゲームにしたい」と強調していた。
またユン社長は,Botを減らすためのもう一つの手段として,ただモンスターを倒すという楽しみに留まらない,新たな要素を随時追加していくとも語っていた。その一つが,先日導入された大型アップデート「EPIC II英雄たちの飛躍」に含まれていたミニゲーム「釣り」であるという。 これに対し,「釣りなんて面白くない。興味もない」といった声もプレイヤー代表からは聞かれたが,このあたりはプレイヤー一人一人によって異なる感想を持つ部分だろう。もちろん,釣り人気が沸騰し,そのためにBotが減るということも考えにくいわけだが,ユン社長がここまで言うのだから,今後はそれなりのミニゲームが実装されることを楽しみに待ちたい。
■「EPIC IV」で「ギルドスキル」を実装
R.O.H.A.NのEPIC IIは現在,三段階で実装中で,10月25日のアップデートによって完成する。その後,EPIC Vまで予定されているのだが,これについてユン社長が席を立ち,ホワイトボードに直接書き込みながら説明を行った。 ユン社長によると,「EPIC III」(近日実装)までは,ソロプレイヤー向けのコンテンツを中心としたもので,キャラクターやミニゲームを含むシステムの追加などが行われるという。 そしてEPIC VIでは,ギルド加入者だけが使用できる「ギルド専用スキル」を30種類以上導入するなどして,コミュニティ機能が強化される。ちなみに,個人用のスキルが戦闘を有利に進めるためのものが多くを占めるのに対し,ギルドスキルはコミュニティやクエストをより楽しむためのものになるという。また,ギルドスキルにもスキルツリーは存在するようで,ギルドのコミュニティの活性化度合いが鍵を握ることになるらしい。 また,EPIC Vでは以前からアナウンスされている,ギルド単位での「タウン建設」が可能になる予定だが,このスキルツリーが完成していないと,タウン建設は難しいそうだ。
ユン社長は,強化されるギルドシステムを「会社」にたとえていた。現在,自動的に付与されるギルド内のランクも,今後は社長が部下の肩書きや権限を決めるのと同様,ギルドマスターが設定できるようになり,ギルド員の能力などを判断し,各自に合った指令を与えることもできるようになるそうだ。ギルド員もまた,会社に所属するかのように,与えられた仕事(魚を釣ってこい! ●●を暗殺しろ! など)をこなす楽しみを味わってほしいとのこと。
このほか,ギルド内でのランクが「ビショップ」になると,ものの売買を通じて経済に関与できるようになるといった仕掛けも用意される模様。
■コミュニティシステムについての不備
このような,コミュニティを重視するシステムの説明を受け,プレイヤー代表からは現状のコミュニティシステムの不備を訴える声が上がった。具体的には,チャット周りのシステムやユーザーインタフェースの不備や,パーティの組みにくさなどだ。 確かに,このあたりの不備を原因に,プレイヤー間のコミュニケーションが図りにくいとなると,ギルドや結束での精神的な絆を深めるのが困難になる。となれば,前述のようなギルドシステムの拡張や,今後実装が予定されているギルドや結束,パーティ専用のクエストも,意思の疎通が図りにくいから,遊ぼうとすら思わないというプレイヤーが出てくる可能性だってあるわけだ。
この点について,ユン社長は「失敗している部分」だと認めたうえで,近日中に改善すると明言した。韓国の運営元,そして開発元のトップであるユン社長から,この言葉を引き出したという意味では,今回のイベントが果たした意味は大きかったのではないだろうか。
さらにプレイヤー代表からは,ゲームで遊ぶ時間がずれている人同士が,連絡をとりあう手段として,ゲーム内あるいは公式サイト内にメールシステムを用意してほしいとの要望も上がった。 YNK JAPANのパク社長によると,「韓国で携帯電話のSMS(Short Message Service)と連動した機能を実装しているのは,韓国では携帯電話番号と住民登録番号が連動しているためで,プレイヤーと携帯電話所有者の同一性が確保できるからこそ。日本ではそれが難しいので,導入を見送っている」と説明。 ただしEPIC IVでは,ほかのプレイヤーに対しプレゼントを贈るシステムが実装される予定で,同時に手紙も添付できるとのこと。また,これに留まらないメッセージングシステムの採用も,検討課題ではある模様だった。
■「R.O.H.A.Nガール」はいらない?
R.O.H.A.Nガールの藤井梨花さん(左),華彩ななさん(右)も登場した
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この後も,プレイヤー代表からさまざまな意見が飛び出した。中でも,プレイヤー代表と運営陣の温度差が興味深かったのは,プロモーション展開についてだ。
既存のプレイヤー(しかも,本日会場に足を運んだほどのコアなプレイヤー)にとって,R.O.H.A.Nガールの起用や,ゲーム内キャラクターボイスへの有名声優起用などにコストを投下する意図が見えにくいようだ。 運営側にしてみれば,これらによって媒体露出が増えることまでも視野に入れているはず。また,ここを入り口に(プレイヤーになるかどうかは別として)R.O.H.A.Nというゲームを知る人が少なからずいるのも事実ではある。 ほかにも,プレイヤー代表からは,新規プレイヤーを獲得したいなら「一般誌や大手ポータルに広告を出すべき」,「『ラグナロクオンライン』のようにアニメ化すべき」との声も上がっていた。 だが,読者属性がゲームそのものと乖離している媒体への広告掲出は,新規プレイヤー獲得につながりにくいということ(企業ブランドイメージの向上には大きな効果があるようだが),地上波のテレビアニメ(深夜)の制作費用が1話あたりで1000万円以上と言われていることなどを考慮すると,これらの費用対効果はかなり割に合わないものになるだろう。
そういう意味では,R.O.H.A.Nガールや声優の起用を決定したYNK JAPANの思惑は理解できる。プレイヤーにとって受けが悪い最大の理由は,こういった事情がまったく見えてこない点なのだろう。R.O.H.A.Nを楽しみ,愛しているからこそ,多くのプレイヤーに参加してもらいたいのに,何も考えずに余計なお金ばかり使っているようで心配……といったところなのかもしれない。 こういった意見に対し,運営陣からはっきりした回答がなかったのは残念なところだ。YNK JAPANは,今後もこういったユーザーとの対話を,年に2〜3回は行いたいとしている。せっかくプレイヤー代表と運営陣が腹を割って語り合える機会を設けるのだから,ゲームのみならず,ゲームを取り巻くさまざまな環境についても,できるだけ情報公開をしながら,意見交換をしてみるというのも面白そうだ。
■ユン社長から,二つの約束が
イベントの最後には,ユン社長があらためて挨拶を行い,「日本にももっと頻繁に来て,GM達やプレイヤーと対話をしつつ,いろいろなことを学びながら,ゲームを作っていきたい。今からが本当のスタートだと思っています」と語った。そしてその中で,チャットシステムおよびユーザーインタフェースを改良することと,年末までに日本独自のミニゲームを追加することを明言したのは,プレイヤー代表にとって,何よりのおみやげになったのではないだろうか。
ちなみに韓国では,以前掲載したユン社長のインタビューにもあるとおり,同様のイベントをすでに何度か行っているという。今回,YNK JAPANとしては初の試みだったが,おおむね成功に終わったと見ても良さそうだ。 運営陣にしても,面と向かい合っているプレイヤーの口から出る率直な意見には,公式サイトのフォーラムや各種掲示板への書き込み以上に感じるところがあったはず。 もちろん,今回のプレイヤー代表の言葉だけがすべてではない。なかなか表には出てこない不満の声も,まだまだあるだろう。そういったものも積極的に拾い上げ,より良いゲームを作り上げていく努力を,YNK JAPANには期待したい。
なお,今回のイベント中に行われた質疑応答は,後日公式サイトにすべて掲載されるとのことなので,そちらもチェックしておいてほしい。(TeT)
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