あの巨大ロボ「ノアタイタン」になれるステージ追加。ゴンゾロッソオンラインが語る「Master of Epic」今後の展開
ハドソン/MOVIDA ENTERTAINMENTからゴンゾロッソオンラインに運営主体が変わり,さらに月額課金制からアイテム課金制へと大きな変貌を遂げた,MMORPG「Master of Epic〜The Resonance Age Universe〜」(以下,MoE)。5月にアイテム課金がスタートし,この夏には「精錬の泉」「錬金の森」といった,アイテムに深く関わるミニゲーム要素も導入された。 そんなMoEの現在および今後の展開について,ゴンゾロッソオンラインでMoEの制作を担当する太田垣氏と仙島氏に話を聞けた。時間も限られていたため,ゲームの全体像というよりは局面局面の話に終始したきらいはあるが,新しいゲームステージ(!)の話も聞けたので,ぜひお届けしたい。
(1)アイテム課金移行後のプレイヤー動向について
今回MoEのプレイヤー動向や,今後のアップデート予定について話してくれた,制作担当の仙島氏(左)と太田垣氏(右)
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太田垣氏: 今年の5月16日に定額課金制からアイテム制に移行したMoEですが,プレイヤーさんには,おおむね従来と変わらない形で楽しんでいただけているようです。ゴンゾロッソオンラインが提案した新要素についても,とくに「錬金の森」については,積極的に楽しんでいただけていると認識しています。 プレイヤー数の伸びに関して言うと,現在こそ落ち着いてきているとはいえ,基本プレイ無料になった直後の伸び率はかなり高かったですね。いままでMoEをプレイしたことのない人や,同じくゴンゾロッソオンラインでサービスする「ナイトオンライン」のプレイヤーさんなどの参加も,多かったようです。 結果として,プレイヤー数増加ゆえに,月額制のときに比べてサーバーが重い状況ですので,10月中にはサーバー周りのハードウェアを強化する予定です。
有料アイテムの例。着ぐるみである各種アニマルソウルの人気は高い
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(2)MoEというタイトルの,現時点における魅力とは?
仙島氏: MoEの最大の魅力は,完全スキル制であることです。スキル制のMMORPGは,歴史が古いにもかかわらずそれほど多くありません。そこでゴンゾロッソオンラインとしては,MoEの長所――好きなようにキャラクターを作成でき,個性を発揮できる点――を地道にアピールしていきます。
そこから派生した要素になるのですが,ネタ系のスキルばかり取ったキャラクターで遊ぶというのも,MoEならではのプレイスタイルです。もともとスキル制ゆえに一人のキャラクターですべてをまかなうことはできず,戦闘系と生産系がお互い助け合わねばならない。ネタスキルキャラの文化が育ったのも,それを許容できるゲームシステムがあってこそだと思います。 ネタキャラの例を挙げると,まったく戦闘できないとか,ダンススキルをモーションだけ楽しむために利用したりとか,さらにそれをエモーションと組み合わせて,オリジナルの振り付けを考えたりとか,実にさまざまです。PresentAgeだけでなく,WarAgeでわざわざネタスキルで戦う人もいます。
プレイヤーさんによる自主イベントも,活発に行われていますね。例えばガチャガチャでランダムに入手できるアイテムの中に,割とレアなクマの着ぐるみがあります。それを,どうにかして大量に入手して仲間に配り,PvPエリアにクマだらけで乗り込むなどということも行われているようで,あれはなかなかすごい光景でした。プレイヤーの,ネタにかける熱意は,こちらの想像を超えますね(笑)。
相手の変身状態を解除するスキルもあるんですが,このときばかりは暗黙のルールで,相手方もそのスキルを使わないという,不思議な空間が出来上がっていました。あれはある意味,実にMoEらしい瞬間でしたね。
(3)アイテム課金制への移行,アイテム課金とスキル制
太田垣氏: アイテム課金を支える有料アイテムの一分野として,ブーストアイテムがあります。ご存じのように,キャラクターの成長を加速させるためのものですが,スキル制を採るMoEでは,その実装方法が課題になりました。 というのも,スキル制のゲームではキャラクターの成長過程がそのままプレイの楽しみを形作る要素なのであって,これを単純に短縮するわけにはいかないからです。へたをすると,個々のプレイヤーの楽しみだけでなく,ゲーム全体のバランスを崩しかねない。 そうした意味でMoEにおいては,アイテムのメリットを考えつつ,効果と持続時間を抑えめに調整するのが大変でした。戦闘に役立つアイテムはゲームバランス面への影響が大きいですから,むしろ生産を助けるような補助アイテムや,可愛い,カッコいい装備品などが多くなっています。 アイテムの人気で言えば,やはり「スキル上昇率アップ」と「ペット育成上昇率アップ」といったブースト系が上位に来るのですが,一方でMoEの楽しみは,お目当てのスキルを最大まで伸ばしたあとも続きます。併用できそうな残りのスキルをどこまで上げるか,どうバランスをとるか,アップデートで追加される新しいシステムに合わせて,今度はどのスキルを習得するか。先ほどのネタスキルの話題も併せて,上がりにくいスキルを何か月もかけて育てるのが魅力という,そんな部分があります。
仙島氏: 生産系のブーストアイテムに関して,あまり効果が実感できないという声も上がっているのですが,生産は現状でバランスが保たれているだけに,悩みどころです。さらに考えていかないといけませんね。 また,可愛い/カッコいい系の有料アイテムとして,この夏には「大正ロマン装備」を追加しましたが,MoEの世界の中ではこれも,とくに突飛なデザインというわけではありません。なにしろ,独特の世界観の流れに沿ったチュートリアルの直後に,鯛の形をした帽子をかぶったキャラクターが街を走っていくのを目にするのが,MoEの日常の一コマですから。
10月中にハロウィンをテーマにした装備品を追加する予定ですし,今後季節に合った衣装を随時用意していきたいと考えています。また,プレイヤーさんからの要望が多い,アーマー系の装備もいろいろと準備中です。
この夏に追加された,長刀や和服などからなる「大正ロマン」装備
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(4)この秋のアップデートでFPSライクなロボット戦闘が
太田垣氏: 10月初旬のサーバー増強に続いて,大規模なアップデートを予定しています。その目玉は,ハドソンさんによる運営の最後にイベントで登場した,巨大ロボット「ノアタイタン」です。パーツを集めていくことで,プレイヤーはあのロボットになれます。そして,MoEの戦闘システムをベースとしつつも,スピード感のあるFPSのような戦いが可能になるのです。時期としては……そうですね,10月下旬から11月を目標として作業を進めています。
仙島氏: ストーリー的には,PresentAgeからWarAgeまでの10年間で,その真ん中に当たる部分という設定です。昨年行われた,ノアタイタンが登場するイベントとは密接に繋がっていて,PresentAgeからWarAgeという時代の移り変わりを説明する部分でもあります。設定でいうとクエスト・オブ・エイジスの一つという位置付けで,ロボットによる戦闘が行われるのは新エリアです。
仙島氏: ロボットといっても,ひとかたまりの大きなメカに乗り込むといった感じではなく,体の部位に合わせて7種類用意された構成パーツを,プレイヤーキャラクターが身に着けていくことにより,キャラクター自身がロボットになっていく形です。構成パーツは部位ごとに4種類ずつ用意されるほか,付帯効果のあるものを加えると,全体として130種類くらいになります。 それら構成パーツは,PresentAgeで身に着けても,とくに効果はありません。ただし,別途ノアタイタンの時代で有効なアイテムやテクニックが用意され,これはPresentAgeでも使えます。もちろん,効果はPresentAgeに合わせた大きさに調整されるのですが。 ノアタイタンの構成パーツは,有料アイテムとして用意しているほか,NPC商店でも購入でき,また,生産系キャラクターが作れるものもあります。
両氏によればこのほかにも,皮革製品の染色などいくつかのアップデートを考えているとのことだった。また,もともと推理パズル的性格を持つ「錬金の森」に,ツリー状のアイテム図を実装して,分かりやすい形で空欄を埋めていけるようにするといったアイデアも,温めているそうだ。 話の冒頭に出てきたゴンゾロッソオンラインならではの提案要素,そこに込められた独自の精神,カラーを簡潔な言葉で教えてくれるようお願いしたところ,答えは「海外の寿司屋」なる比喩であった。これは「既存の枠組を尊重しつつも,それにとらわれることのない発想で,本当に面白いものを提供していく」ことを,端的に示したものだ。 生活要素/生産要素の充実したスキル制タイトルで,バランスを崩すことなく新しいものを盛り込むことの難しさは,ある程度想像がつく。それでも果敢に挑戦するゴンゾロッソオンラインにとって,新しくかつおいしい寿司を作るためのアボカドやソフトシェルクラブに相当するのは,いったいどんな“ネタ”になるのか。今後明かされていくであろう同社の取り組みが,実に楽しみである。 (聞き手 ライター:麻生ちはや)
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