[COMPUTEX 2006#18]BIOSTAR,グラフィックスメモリ1GB搭載のGeForce 7600カードを7月に投入
国内ではマザーボードやベアボーンのメーカーとして認知されているBIOSTAR MICROTECH(以下BIOSTAR)が,グラフィックスカード市場へ本格的に参入する。「ΣGate」(シグマゲート)と名付けられた完全なる新シリーズは,本誌読者の多くが手を出しやすい,ミドルレンジ製品を中心に展開される予定だ。
V7602GSG1。ヒートパイプ構造が採用されている
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そのなかでもとくに注目したいのは,グラフィックスメモリを1GB搭載するGeForce 7600 GSカード「V7602GSG1」だ。V7602GSG1では,カードの表裏両面に512MBずつグラフィックスメモリを搭載することで,容量1GBを達成している。
3DグラフィックスサブシステムでデスクトップがレンダリングされることになるWindows VistaのAeroでは,WinHEC 2006のレポートでもお伝えしたように,1920×1200ドット以上のデスクトップ解像度で,グラフィックスメモリが256MB以上要求される。最近では,2560×1600ドットなどという超高解像度のディスプレイが登場しているうえ,マルチディスプレイ環境も市民権を得つつあるから,グラフィックスメモリ容量が多いに越したことはないのだ。
V7602GSG1のスペック
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もっとも,GeForce 7600 GSのメモリバスは128bitなので,メモリバスがボトルネックになってしまい,高解像度における劇的なパフォーマンス向上は望めないが,それでも1GBという数字のインパクトは大きい。コアクロックとメモリクロックはそれぞれ400MHz,800MHz相当とリファレンスどおりで,「メモリ容量は増えたが,動作クロックは下がった」という残念な事態になっていないのもいい。 もっといえば,ファンレスという魅力もあるから,Windows Vistaでの高解像度デスクトップを意識しつつ,静音性までも求めたいという,長期的な視野を持つカジュアルゲーマーにとって,気になる製品になるだろう。
V7602GTG1。メモリクロックさえ高ければ……という人は多そうだ
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なお,グラフィックスメモリ1GB搭載の製品としては,GeForce 7600 GTを搭載し,オリジナル仕様のチップクーラーを搭載した「V7602GTG1」がある。 ただこちらは,コアクロックこそ560MHzとリファレンスどおりだが,メモリクロックはV7602GSG1と同じ800MHz相当。GeForce 7600 GTのリファレンスでは1.4GHz相当だから,比較にならないほど遅い。こちらは北米市場で7月中旬に269ドルで発売予定とのことだが,パフォーマンス面ではあまり期待できそうにない。
■AGPの“延命”には意外とアリ? メモリ512MB仕様のGeForce 6800 XT
V6802XA52
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このほか面白いところでは,GeForce 6800 XTを搭載したAGPグラフィックスカード「V6802XA52」が挙げられる。 GeForce 6800 XTは,GeForce 7シリーズと同じ,DirectX 9.0c世代のプログラマブルシェーダ3.0仕様のGPU(グラフィックスチップ)。GeForce 6シリーズ最上位となる“6800”のシリーズ名を冠しつつも,頂点シェーダ4基,ピクセルシェーダ8基という,およそ上位モデルらしくないシェーダユニット構成なのだが,「RivaTuner」などの非公式ユーティリティを利用することで,頂点/ピクセルシェーダユニット数をそれぞれ6/12基に増やせることが判明し,海外を中心にちょっとした盛り上がりを見せている。
さて,V6802XA52はコアクロック325MHz、メモリクロック700MHz相当と,動作クロック仕様的には数ある競合製品と同じだが、搭載するグラフィックスメモリが512MBとなっている点が特徴。また,なんといっても貴重なネイティブAGP接続のGPUであるという点も見逃せないところだ。GeForce 7800 GSなどが搭載するHSI(Hi-Speed Interconnect)には何かとトラブルが報告されているだけに,どうしても今しばらくAGPでしのぐ必要のある人には,面白い存在といえる。 なお,同製品は北米だとすでに発売中で,価格は150ドル前後。1万5000円前後で日本に入ってくるようなら,日本でも人気が出そうだ。
■タイミングよく国内市場に展開できるかがカギ
北米ではハイエンドとなるGeForce 7900 GT搭載製品を販売中。ハイエンド品では,「Σ」をかたどった化粧箱に入っている(今回紹介した3モデルは赤をベースにしたものになる予定)。ちなみに,このGeForce 7600 GT搭載カードには,FIFAワールドカップ ドイツ大会をイメージしたフィギュアが付属。フィギュアに名前はないのだそうだ
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BIOSTARのグラフィックスカード担当副社長,Kenny Tseng氏によれば,現在は時期,価格とも未定ながら,今回紹介したようなミドルレンジ製品を中心に,日本市場にも参入する予定という。
厳しいことを言わせてもらえれば,国内におけるBIOSTARのブランドイメージはそれほどよくない。失礼を承知でそのことを率直に伝えたところ,氏は苦笑していたが,インパクトのある製品が,機を逃さず市場に出てくるようなら,そのイメージは変わってくるはずだ。 国内新規参入メーカーの多くは,それに失敗して日本から去っていったが,ラインナップはなかなか魅力的なだけに,タイミングを逃さずに市場へ投入できるかどうかがカギとなるだろう。この点に期待しつつ,BIOSTARのグラフィックスカードビジネスを見守りたい。(トライゼット 西川善司)
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