セガのゲーム&コミュニケーションポータル「SEGA Link」始動
SEGA Linkのロゴマーク。人それぞれの形,それが変化していくことをコンセプトにクレイ(粘土)をモチーフにしたという
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本日(2005年2月9日),セガが新たに展開するゲームとコミュニティに特化したネットワークサービス「SEGA Link」の構想が発表され,βテスターの募集が始まった。都内六本木にある「ラピロス六本木」で行われた発表会で披露された内容に基づき,新サービスの概要およびコンセプトについて説明していこう。
SEGA Linkは,MMORPGなど既存のオンラインゲームサービスや,トランプ・麻雀といったカジュアルゲームの無料サービス,占いや音楽,ストリーミング映像などのコンテンツを核に据えつつ,アバター,"マイホームページ",掲示板,チャットなどのコミュニケーション機能を組み合わせた,独自のネットワークサービスだ。 セガがこれまでコンシューマ機やアーケードゲームで展開してきたゲームコンテンツが順次ネットワーク対応にモディファイされて盛り込まれるほか,今後予定されているオンラインゲームタイトルのサービスも,SEGA Linkを核として展開されるという。
この構想の前提には,「オンラインゲームの市場は注目度の割にまだまだ小さく,ユーザーがやりたいことが不足している」(セガ ネットワーク事業部 事業部長 森下英昭氏)という認識があるという。そこで,コミュニケーションと娯楽を同時に,いやむしろコミュニケーションそのものを娯楽として提供しようというのが,SEGA Linkの基本コンセプトになる。 つまり,ゲームを"プレイするもの"としてだけでなく,"コミュニケーションのネタ"あるいは"コミュニケーションの一形態"として提供し,そこに集まる人同士がつながること,自分を表現することを楽しめるサービスにするとのことだ。 大半のサービスは無料で提供され,収益としてはアバター/ホームページアイテムの売り上げと,一部プレミアムサービスの料金が考えられている。決済手段には,「セガキャッシュ」と呼ばれるチャージ式の方法が用意され,クレジットカードやコンビニ支払いをはじめ,さまざまな手段でセガキャッシュをチャージする,という形になるようだ。
写真左:会場ではスライドによるコンセプト説明,コミュニケーション機能のデモが行われたが,ゲームのプレイデモは行われなかった。これは質疑応答時の一コマだ
写真右:右がセガ 代表取締役社長兼COO 小口久雄氏,左がセガ ネットワーク戦略事業部 オンラインマーケティング部 SEGA Link総合プロデューサー 染谷光廣氏,そして中央がイメージキャラクターの鈴木 杏さん
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■PC・メガドライブの資産とカジュアルゲームのサービス
SEGA Linkのトップページ。アバターやマイリンク,各コンテンツへのリンクが見てとれる
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さて,上記のようなコンセプトで構想されるSEGA Linkのサービスは,大きく"Entertainment"と"Community"に分類できるが,まずは前者から見ていこう。Entertainmentとしては現状でゲーム/ストリーミング/占いが供給されることが決まっている。 このうちゲームでは,ポーカーや大富豪,麻雀などすぐに遊べる「シンプルゲーム」,懐かしのメガドライブソフト20タイトル(将来的には100タイトル)が配信される「セガクラシック」,そして,ネットワークモディファイを加えたPCゲームや,MMOタイプのゲームを配信する「リンクコレクション」という,3種類のサービス形態が構想されている。今回明らかにされたタイトルを下に示す。なお,会場で聞いてみたところによれば,セガがサービス提供を予定しているMMORPG「RF Online」も,このSEGA Linkを中心に展開されるとのことだった。
■シンプルゲームの内訳(発表されたもののみ) ・ブラックジャック(1〜5人用) ・7ポーカー(2〜5人用) ・バカラ(1〜5人用) ・7ならべ(4人用) ・ババ抜き(4人用) ・大富豪(4人用) ・バックギャモン(2人用) ・麻雀(4人用) ・ロケットロール(2〜6人用。オリジナルのターン制おはじき)
■リンクコレクションの内訳(発表されたもののみ) ・バーチャファイター2 ・電脳戦機バーチャロン ・ザ・タイピング・オブ・デッド 2004 ・PHANTASY STAR ONLINE Blue Burst ・DERBY OWNERS CLUB ONLINE
このほか,ストリーミング映像コンテンツとしては「Jam Films」「ユーロアニメーション」「Rock Style TV」「Xtream Sports」といったタイトルが並び,音声コンテンツは「カオスだもんね!」の水口画伯・編集者シャクライ両氏がラジオライクなトークを展開する「ネムナイ!」,最新のゲーム情報が聴ける「Weekly SEGA」などが予定されている。また,"算命学"に基づく占いコンテンツも,女性ユーザーを意識してか充実したメニューを備えており,自分の運勢をアップさせてくれる人(?)を,全登録ユーザーの中からピックアップする「運勢アップフレンド」などというコンテンツもある。
写真左:こちらはゲームのページ。シンプルゲームとリンクコレクションの各タイトルが確認できる
写真中:ストリーミングのページ。映像や音楽のみならず,ラジオ番組的なオリジナルコンテンツも
写真右:占いのページはかなり充実している。「運勢アップフレンド」という仕掛けもかなり大胆だ
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■アバターチャットや掲示板も活用する
プロフィールや日記,アバター関連の機能やフレンド登録など,一通りの機能が用意された,"マイホームページ"
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Entertainmentと対になるCommunityの機能としては,アバター/マイホームページ/HPギャラリー/掲示板/チャット/モールが用意されている。順に説明していこう。
SEGA Linkのアバターは,日本人向け,かつ大人が利用しても違和感のないデザインを目標に作られ,週1回のペースでアイテムが追加されていくという。また,アイテムをランダムに購入する"ガチャガチャ",期間限定アイテム,タイアップアイテムなども提供される予定だ。 マイホームページは,ブログ(blog)やソーシャルネットワークが持つ特性を組み込んだ高機能なものになる予定で,アバターにまつわるさまざまな機能のほか,フレンドリストを基にした「マイフレンド」表示,SEGA link内のお気に入りコンテンツを表示する「マイリンク」といった機能を備える。また「HPギャラリー」では新しい会員のマイホームページの紹介や,訪問者数やコメント数ごとの順位が見られる「週刊ユーザーランキング」,キーワード検索といった機能が利用可能だ。 SEGA Linkに用意される掲示板はスレッドフローティング形式で,自分が作ったスレッドや,自分が付けたレスに,新たにレスが付いたかどうかもすぐ分かる仕組みになっている。また,スレッドのタイトルや出てくる文言を対象とした検索機能も備え,将来的には画像もアップロードできるようにするという。 同様にグラフィカルなチャット機能も提供され,会話が途切れたときにシステム側が話題を振ってくれる「おしゃべり機能」や,タイピングゲームのような遊び要素が考えられているとのこと。 最後のモールは,アバターおよびマイホームページのためのアイテムを購入できる機能だ。買ったアイテムをほかの人に渡す,異性アバター用のアイテムを購入するといったことも可能となっている。アイテムの価格は100〜300円程度が中心になり,高額なものでも1000円前後に留まるという。
写真左:会員のマイホームページの新着情報や各種ランキングなどが確認できる,HPギャラリー
写真中:掲示板では,自分が作ったスレッドや,付けたレスへのさらなるレスがあったかどうかもすぐ確認できる
写真右:チャット機能はグラフィカル。そしていろいろな意味で気になるのが,右上に示された「おすすめチャットユーザー」機能だ
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■本日よりβテスター募集開始,初夏には正式サービス?
冒頭でちょっとだけ触れたが,SEGA Linkのクローズドβテスター募集は,「こちら」のサイトですでに開始されている。クローズドβテスターの募集人数はさしあたり5000人とのことなので,興味を惹かれた人は早めに確認したほうがよいかもしれない。 会場で確認したところでは,2月中旬にクローズドβテスト開始,3月中旬ごろにオープンβテスト,それから2〜3か月をおいて正式サービスに移行,1年後には100万人(!)の会員獲得を目指す,というスケジュールになっているとのこと。
本日の発表の段階では,どこかで聞いたことのある仕組みの話が大半を占めていたという印象が強いものの,ゲームをキラーコンテンツとしたコミュニティサイトを作るなら,セガには過去の膨大な資産というアドバンテージがある。 ただし,今回狙うライトユーザー層とはかなり温度差があるようにも思われたので,その点について聞いたところ「コンシューマゲームを中心としたコアゲーマー層へのコンテンツ提供実績のみならず,セガにはアーケードゲーム事業で積み上げたライトゲーマー層へのアプローチノウハウもあります」(セガネットワーク戦略事業部 オンラインマーケティング部 SEGA Link総合プロデューサー 染谷光廣氏)とのことだった。 そのノウハウの発揮形態について,具体的な話を聞けなかったのが実に残念だが,これは事業計画が進展するにつれて明らかになっていくことだろう。 今回の事業発表は,かつてコンシューマゲームのプラットフォームメーカーの道を歩んできたセガの,新たなプラットフォーム提案としても評価できる。他社のゲームコンテンツをSEGA Linkで展開する可能性について,具体的でこそないが「積極的に取り入れていく」(セガ 代表取締役社長兼COO 小口久雄氏)旨の発言があったのも,そうした意気込みの表れだろう。他社作品や過去の資産の活用を含めた,詳細な続報がぜひとも待たれるところだ。(Guevarista)
(C)SEGA,2004
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