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大戦略20周年記念発表会。「VIII」や「パーフェクト2.0DX」も
2005/01/27 23:57
会場となった「グランドヒル市ヶ谷」は,防衛庁御用達のホテルらしい
 本日(2005年1月27日),東京は市ヶ谷のホテル「グランドヒル市ヶ谷」で,システムソフト・アルファー「大戦略20周年記念発表会」が開催された。その席上では第一弾に位置づけられた「大戦略 大東亜興亡史〜ニイタカヤマノボレ一二〇八」を筆頭に,"20周年記念作品"の数々が話題にのぼり,「大戦略VIII」および「大戦略パーフェクト2.0DX」といった新作の概要説明およびデモンストレーションと,「現代大戦略2005」「リアルタイム版大戦略パーフェクト2.0」「大戦略パーフェクト3.0」など,今後の製品計画が披露された。発表会の様子をお伝えしよう。

■大戦略20年の歴史とコンシューマ機へのチャレンジ
大戦略シリーズ20年の歩みを語る,システムソフト・アルファー 常務取締役 宮迫 靖氏
 発表会は,システムソフト・アルファー 常務取締役 宮迫靖氏による「大戦略20年の歴史」の説明で幕を開けた。PC-98シリーズ向け製品としてスタートを切った元祖「現代大戦略」(1985年・累計出荷2万本),ターン制ストラテジーとして一つの完成を見た「大戦略II」(1987年・5万本),リアルタイム性に挑戦した「大戦略III」(1989年・7万本),初めて対戦プレイが導入された「大戦略IV」(1992年・10万本),ターン制とリアルタイム制の融合が試みられた「大戦略V」(1996年・8万本),リアルタイム制でインターネット対戦が盛り込まれた「大戦略VI」(1999年・5万本),そして,マップ/ユニットが3D表示になった「大戦略VII」(2001年・4万本)の順でスライド説明が行われ,宮迫氏は「大戦略直系でローマ数字の付された"ナンバー大戦略シリーズ"は,常に新境地を開拓する役割を担ってきた」と話を締めくくった。この流れは,後述の「大戦略VIII」に引き継がれることになる。

「大戦略 大東亜興亡史〜ニイタカヤマノボレ一二〇八」の注目点について説明する,システムソフト・アルファー 取締役 前田康仁氏
 次に取締役の前田康仁氏から,明日(1月28日)発売される「大戦略 大東亜興亡史〜ニイタカヤマノボレ一二〇八」(以下,大東亜興亡史)と,PlayStation 2用ソフト「大戦略VII EXCEED」の,デモンストレーションと説明があった。
 「大戦略VII EXCEED」のほうはPCゲームでないわけだが,「システムソフト・アルファーにとって初めてのコンシューマゲームソフト」(前田氏)に当たることは,覚えておいてもよいだろう。
 PC版の大戦略VIIをベースとする本作だが,独自のフィーチャーとして次のような機能が追加されている。

 ・キャンペーンモード
 ・「爆撃」「修復」コマンド
 ・イージス艦などの自動「迎撃」システム
 ・プレイヤーの指示に応答する「オペレーター」
 ・フリープレイモードとミッションモード

 とくに迎撃システムは,イージス艦やパトリオットミサイル搭載艦の使い勝手を大きく変えるルールといえる。発売予定は2005年3月,すでにPC版をプレイした人も要注目だ。

 発売が明日に迫った大東亜興亡史だが,この製品の概要については,まず当サイトの「こちら」の記事をご覧いただくとして,発表会で新たに聞けた要素としては,

 ・米軍シナリオの進行に「ニミッツルート」と「マッカーサールート」がある
 ・1日=6ターンで,時間帯と天候が戦闘に影響を与える
 ・パナマ作戦,ボンベイ攻略戦,ハワイ攻略戦などがある
 ・歩兵の対戦車攻撃に「火炎ビン」がある
 ・日本兵の攻撃モーションに"銃剣突撃"がある
 ・「神風特別攻撃」と「核兵器」が使用可能

といったところだ。国産ゲームで"特攻"をルール化するのは極めて異例であり,日本軍シナリオのBGMは軍歌「雪の進軍」と「軍艦行進曲」,オープニングミュージックは「さくらさくら」のアレンジバージョンで,満開の桜と軍艦旗(旭日旗)の画面から始まるなど,受け取りようによっては"イタい"と言われかねない演出なのだが,「終戦後60年めに当たり,戦争の記憶を風化させないこと」(前田氏)を作品の使命と考えているとのことだった。



■リアルタイム制でヘックスのない「大戦略VIII」
「大戦略VIII」のデモンストレーションで,オペレータ役を務める,システムソフト・アルファー 取締役 藤本淳一氏
さて,次はいよいよ今回初公開の作品についてだ。2005年3月には「大戦略パーフェクト2.0DX」が発売される。これは,大戦略パーフェクト2.0をベースに,「現代大戦略2004〜日中国境紛争勃発!〜」で導入された「国境線」「地雷・機雷」「シンプルモード」といったルールを追加,さらに以下の3要素を加えた製品になるという。順に説明しよう。

 ・「マイ部隊」ルール
 ・コンピュータ側思考ルーチンの強化
 ・3D兵器図鑑

 まず「マイ部隊」についてだが,これはあるマップ/シナリオに勝利した時点で存在している部隊を,保存しておけるというもの。保存した部隊は別のマップ/シナリオをプレイするとき,随時生産できる。ただし,戦闘経験を積んでレベルが上がっているぶん生産時のコストは高くなり,かつ「保存しておける部隊の数には上限を設ける予定」(宮迫氏)とのことだ。
 次に思考ルーチンの強化だが,「最も大きく変わるのは生産と輸送」(宮迫氏)で,陸・海・空各ユニットの生産比を指定できるようになったほか,「孤島やマップの端など,離れた場所にもきちんと部隊を展開/進攻するようになるはず」という。
 3D兵器図鑑については,画面イメージを伴う説明がなかったため詳細は不明だが,ゲームに登場する各兵器の解説が,3Dのモデリングデータ込みで参照できるようになるという。

 「パーフェクト」シリーズの新作に続いてお披露目があったのは,「ナンバー大戦略」シリーズの最新作「大戦略VIII」だ。この作品の特徴は,フル3D描画でリアルタイム制が採用されている点と「ついに大戦略からヘックスが消えた!」点にある。
 会場では取締役 藤本淳一氏の操作と宮迫氏の解説によるβ版のデモンストレーションが行われ,フル3Dで描かれた各種陸上地形や海上/海中,その中を行く,これまた3Dのユニットが披露された。
 現段階ではまだモデリングがかなりラフで,とくに艦船はポリゴン数を陸上ユニット並みに抑えて仮に動作させているため,ディテールが読み取りにくいものだったが,各ユニットの挙動や周囲の状況は,ユニットの上下/左右,後上方や前上方などさまざまな角度から参照可能,プロペラやスクリューもきちんと動作していた。
 さて,やにわに「ヘックスが消えた!」と言われても,それでどうやって位置を定義するやら想像しがたいことと思う。結論としては"マス目の入った座標"方式になるらしい。デモンストレーションでは,2D表示のマップ画面で部隊の移動を指示していたのだが,そのマップはヘックス(正六角形)でなくスクエア(正方形)で区切られていた。ただし,スクエア1個が1ユニット分のスペースを表しているのではなく,ユニットの位置はもっと細かい座標で管理されており,大まかな区切りとしてスクエアが用意されているのだ。
 マップの広さとのバランスが想像しづらかったので,藤本氏に訊いたところ,「スクエア1個は100×100座標でできており,マップ全体は今のところ128×128スクエアまでのサイズになっている」とのことだった。ヘックス制のときと比べて格段に細かいのが分かるだろう。ちなみにゲームの進行速度については,もちろんプレイヤー側で調整できるようにするという。
 こちらも2005年3月発売予定で,宮迫氏によれば「できれば先にVIIIを出したいところ」らしいのだが,時期も時期,一日も早い発売日の確定を望みたい。

 途中,ジー・モードが展開する携帯電話版「大戦略」の新作,「大戦略Collection」(2005年春・KDDI BREW)や「対戦!!大戦略Mobile Docomo」(開発中)の話題と,ジー・モード 代表取締役社長 宮路 武氏のコメントを交えつつ発表会は進み,最後に今後の計画として以下の3作品が挙げられた。

 ・「現代大戦略2005」
 ・「リアルタイム版大戦略パーフェクト2.0」
 ・「大戦略パーフェクト3.0」

いずれもこの夏から秋以降のリリース予定であり,それぞれで中核となるフィーチャー/特徴的なルール等は明らかにされなかったが,「ナンバー大戦略」をはじめとして「パーフェクト」「リアルタイム版パーフェクト」「現代〜200X」といった現行各ラインに沿って,順次新製品が投入されていくのは確かなようだ。
 3D表現へのこだわりが,そもそも抽象的なゲームシステムから始まった大戦略でどう結実していくのか。そのあたりを含めて,今後の製品情報に注目したい。(Guevarista)

画面上段:「大戦略VIII」の2Dマップ画面。スクエアの存在と移動指示の様子が分かる
画面下段:同じく3Dで描画された景色とユニット。ユニットの上下/左右をはじめ,さまざまな視点で表示できる

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http://www.4gamer.net/news/history/2005.01/20050127235743detail.html