プレイレポート
[プレイレポ]「Struggle F.O」は,恐竜から天使まで,敵をテイミングして最強パーティ作りを楽しめるアクションRPGだ
[インタビュー]ライブゲームを手がけてきた開発陣は,初めての売り切りゲーム「Struggle F.O」にどんな思いを込めたのか
本日,Steamで配信された「Struggle F.O」は,さまざまな種族が入り乱れる謎の土地を舞台に,主人公の少女ジョゼットが恐竜や亜人などと共に戦うアクションRPGだ。これまでライブゲームを手がけてきたエスパーダが,なぜ売り切りゲームを作ったのか? 気になるところを聞いてみた。
恐竜から天使まで,
敵をテイミングして最強パーティを作り出す
「Struggle F.O」を開発するのは「グラナド・エスパダ」や「はがねオーケストラ」の中核スタッフが立ち上げたデベロッパであるエスパーダ。これまで運営型のゲームを手がけてきた彼らによる,初の売り切りゲームが本作だ。
本作の主人公は,記憶を失った少女ジョゼット。彼女が目覚めたのは,恐竜や猛獣,エルフやスライム,そして人といった多様過ぎる生物達が闊歩する土地だった。自分が何者で何をすべきかも覚えていないジョゼットだが,その腕には謎めいた端末「メカ子」が装着されており,この世界のあらゆる生物とコミュニケーションを取ることができる。
旅の中で出会った狼の「わんこ」と共に人間の集落に落ち着いたジョゼットは,集落を守る用心棒として戦うことになるのだった。
ジョゼットの周囲からは無数の敵が襲いかかってくる。攻撃は自動で行われるため,うまく位置取りをして敵を倒していこう。敵が落とす「データキューブ」を一定数取ると,ジョゼットのレベルがアップ。ランダムに提示される武器や補助装備の中から好きなものを選び,戦力をアップしていく。「Vampire Survivors」の影響が強いシステムであり,ゲームをあまりプレイしない人でもすぐに慣れることができるだろう。
「Struggle F.O」を他作品と差別化しているのが,個性的な仲間「アライズ」の存在である。ジョゼットが敵を倒していくと,たまに仲間になってくれる者がいる。これがアライズで,最大4体を引き連れてパーティを組める。それだけでなく,集落に連れ帰って育成や交配もできるのだ。
恐竜,ゴーレム,天使,ゴリラ,ワニ,スライム,忍者,魔法少女,エルフなど,フィールド上に出てくる大抵の敵はアライズにすることが可能。それぞれが個性的な能力を持つため,コレクションが楽しい。
アライズは攻撃力に優れた「アタッカー」,体力と防御力が高く,味方のダメージを軽減してくれる「タンク」,味方に治療を施してくれる「ヒーラー」,妨害を仕掛ける「デバッファー」,味方を強化する「バッファー」,敵の位置調整など場をかき乱す「コントロール」の6系列が存在。同じ系列でも攻撃方法やスキルが異なるため,うまく組み合わせてパーティを編成し,陣形(フォーメーション)を設定してやることが勝利への鍵となる。
ここに,レベルアップ時にどんな選択肢が出るかの運が絡むこと,敵が周囲から襲いかかってくることが合わさり,スリリングなバトルに仕上がっている。
アライズは自動で戦ってくれ,種族によってさまざまな技を駆使する。大岩を投げる者がいれば,回復やバフのフィールドを張ってくれる者,敵に噛みついて戦う者,攻撃しつつアイテムを投げてくれる者などがいて,見ているだけでも楽しい。
なお,彼らの布陣は戦闘中でも自由に変えることができる。アライズ達は自由に動き回るが,ジョゼットが長距離の移動を始めたりホイッスルを吹いたりすれば陣形を保ちつつ動くというわけで,2Dシューティングの補助装備,「R-TYPE」の「ビット」や「グラディウス」の「フォーメーション」オプションに近いといえばイメージしやすいだろうか。
ジョゼットがどんな武器を装備できるかは,レベルアップ時の選択肢で決まる。優先して出したい武器は3つまで指定できるものの,基本的には運任せだ。ジョゼットが射撃に回れるよう,射撃武器を優先指定した状態で,タンク役の恐竜「アンキロサウルス」を前面に押し出し,「エルフ狩人」や「コボルト弓手」といった飛び道具持ちとともに射撃。「竹槍」や「ナイフ」など近接武器を多く装備し,「タイラントサウルス」や「鬼族の女剣士」ら近接系アタッカーと突撃。触れた敵をはね飛ばす「鉄条網」を装備できたら,回復役の「スライム」を鉄条網で守れる位置取りをして持久戦の構えを取る……とさまざまな戦法が可能だ。
そして,本作の敵はあらゆる方向から迫ってくるため,ひとたび陣形さえ決めてしまえば盤石というわけではない。パーティ編成とレベルアップの選択肢,敵の布陣に応じ,臨機応変に立ち回っていくのが面白い。
それでもピンチになったら「ライドアタック」の出番だ。これは,ジョゼットとアライズが強力な合体技を繰り出すというもので,「フィアーウルフ」なら背中に乗って噛みつきとショットガンのコンビネーション攻撃を繰り出し,「タンクトプス」は周囲に水を放射して攻撃,「下級天使」はジョゼットと一緒に応援して仲間を回復するなど,アライズの種類ごとに異なる効果が発動する。
つまり4体のアライズを連れて行けば最大4種の大技を選んで使えるということである。ライドアタックの効果でアライズを選ぶのもアリだろう。一発逆転も夢ではないライドアタックだが,使用には時間経過で溜まるゲージが必要。乱発していざというときに使えない,なんてことがないように注意したい。
そしてアライズは,戦いで経験を積むとレベルアップして強くなる。ジョゼットのレベルアップはその戦いのみの一時的なものだが,アライズのレベルアップは永続的に能力が上がる。つまり,アライズを強くするほど高難度のステージでも安定して戦い続けられるというわけだ。
レベルアップ時に得られたボーナスポイントは,好きなステータスに割り振れる。「攻撃力」に割り振って殲滅力を追求するもよし,「移動速度」を上げてスピーディーに展開するもよしと,アライズをカスタマイズしていける。同種のアライズを何体も仲間にすることもできるため,こちらは攻撃型,こちらは防御型というように育て方を変えてみるのも面白い。
しかし,戦闘ではアライズの存在そのものが消える,恐ろしいアクシデントが起こる場合がある。それが「ロスト」だ。アライズの体力が0になった状態でダメージを受け続けると「摩耗値」が減少する。摩耗値が減るとステータスが下がり,瀕死の「デスドア」状態となり,さらにダメージを受けるとロストしてしまう。ロストしたアライズを復活させることは不可能なため,まさに永遠の別れとなるのだ。
大切なアライズを守るため,バトルから撤退するか?それともデスドア状態になっても戦闘を強行し,さらなる戦果を狙うか? アライズに感情移入できるからこそ,悩みも深くなるわけで,このあたりは本作ならではのプレイフィールと言えるだろう。
なお,アライズがロストして欠員ができた場合,新たにテイミングしたアライズをそのまま戦わせることも可能だ。ロストとテイミングを繰り返しつつ戦い抜き,戦闘終了時にはまったく新しいメンバーによる,それなりに機能するパーティが出来上がっていた,なんてこともあった。
歯ごたえを求める人は,こうした現地雇用のみで遊んでみるのも楽しいだろう。
間接的だが,ロストを防ぐ方法もある。戦いについて行けなくなったアライズは「引退」させばいい。引退したアライズはバトルには連れ出せなくなるが集落で働くようになり,ジョゼットが集落に帰ってきたときに出会えるほか,ときにはアライズ同士を競争させる「アライズレース」に出場することもある。
また,集落の「アライズセンター」では同種のアライズを「交配」させて新たな子を作り出すことができる。子は親の能力を受け継ぐため,高レベルのアライズ同士を交配させれば子も強いアライズになる。そして,誰が親なのか,いつ生まれたのか,どれくらい戦い続けたのか……といった記録は引退しても残る。アライズとの絆はずっと続いていくということで,感情が刺激されるのだ。
引退させた「ライカンスロープ」と「エルフ狩人」が集落で働いている |
集落の「温泉」にアライズを入れ,ダメージを回復することもできる |
こうして戦いに勝てば素材が手に入り,新たな装備を作り出せるし,アライズのレベルアップと合わせて戦力も充実する。その一方で,新たな敵が登場するフィールドが解禁され,バトルはより難しくなっていく。しかし,新たな敵=新たなアライズ候補でもあり,モチベーションを刺激してくれるのがうれしい。
また,フィールドの中にはボスが待ち構えていることもある。ボスはテイミングできないうえに強力で,無数の弾幕をバラまいたり,手下を呼び出したりといった厄介な攻撃で攻め立ててくる。
特殊なアイテムを使えば入場できる「ダンジョン」もあり,ここではより高いステータスの敵が大挙して出現する。
これらの高難度コンテンツで勝つためには強いアライズのテイミングや交配に加え,強力な装備を作るために拠点を発展させることも必要になってくるのだ。
短いプレイ時間の中,その場限りのレベルアップで強くなる「Vampire Survivors」的なプレイ感に加え,アライズの育成やテイミング,装備開発といった中長期的なやり込みも楽しめるのが「Struggle F.O」だ。
「Vampire Survivors」の影響を受けたゲームも多いが,こうしたやり込み要素によるオリジナリティがあり,ほかの同系ゲームとはひと味違ったゲームになっていると感じられた。とくにアライズ関連が印象的で,名前を付けられたり,アライズごとの記録を見られたりといったフィーチャーと合わせ,育成ゲーム好きには刺さるだろう。
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