The Troma Project

●Preview#20: The Troma Project

Text by 奥谷海人

究極のB級映画シリーズがゲーム化!

クリックすると拡大します  "トロマ・プロジェクト"というのは聞きなれない言葉だが,アメリカのTroma社が製作し続ける激しいバイオレンス,セックス,パロディーと3拍子揃った18禁低予算映画シリーズだ。ロイド・カウフマン(Loyd Kaufmann)というイカれた中年製作者が25年間に渡って全世界のカルトマニアの心をわしづかみにしている。とくに「悪魔の毒々モンスター」などは第2作めを日本でロケしたこともあるので,ビデオで関根勤や安岡力也の名演技を拝んだことのある人もいることだろう。
 そんなモラルのかけらもない映画シリーズをゲームにしたのが,この「The Troma Project」というターンベース型の戦略/RPGゲームである。オランダのNecrosoftが開発し,ドイツにあるオンラインゲームサービスサイトを運営するNet-Gamesが配給を担当。公式リリースは第3四半期を予定しているが,Net-Gamesの公式サイトではすでに232MBという巨大デモまで出回っているので,勇気のあるプレイヤーは試してみてもよいだろう。ただし,過激なバイオレンスや性描写があるため,未成年者は遠慮しておくことをお勧めする。

武器のモップで,世界の悪を一掃するのが目的だ

 The Troma Projectの舞台になるのは,映画シリーズではお馴染みのトロマビル(Tromaville)という郊外都市。人口1万5000人という小規模な町だが,悪徳企業によって産業廃棄物や緑色の廃液が不法投棄され,その公害に影響された若者たちが暴徒と化している。デモでプレイできるミッション1は,このトロマビルの工業地帯に侵略を始めた"サーフナチ"というファッショサーファー達を一掃するのが目的となっている。さらに製品版では,原理主義者たちとの戦いや,トロマ撮影所内部での乱闘など,七つのチャプターが展開していくことになる
 プレイヤーが操作できるのは,「悪魔の毒々モンスター」の主人公トキシック・アベンジャーを始めとするトロマ映画の常連たちだ。トキシック・アベンジャーは,ひ弱な青年メルビンがいじめられて廃液の中に落ち,体中がただれながらも筋肉質な肉体へとパワーアップしたモンスターヒーローだ。メルビン時代に掃除夫だったことから,彼の武器といえばモップ。ゲーム中でも,モップを使った場合は至近距離攻撃しかできないものの,どんな敵でも一撃で成敗できるのだ。
 さらに彼の仲間となるのが,サージェント・カブキマンNYPDという長い名前のヒーロー(省略してはいけない)で,派手なカブキの衣装と日本刀が目印。映画では,スシや割り箸を使った攻撃もするが,今回のデモでは確認できなかった。また,シリーズに登場するセクシーギャルたちは"トロメット"と総称されるが,その中のアーガンがスーパートロメットへと昇格しているほか,このゲーム専用に作られたというストレンジャーなる謎の銃使いもパーティーに加わっている。
登場キャラクター
トキシック・アベンジャー ストレンジャー サージェント・カブキマンNYPD トロメット・アーガン
トキシック・アベンジャー ストレンジャー サージェント・カブキマンNYPD トロメット・アーガン

アクションポイントでキャラクターを進めていく以外なゲーム性

クリックすると拡大します  The Troma Projectはターンベース制になっており,ゲームプレイは「Commandos」や「Jagged Alliance 2」のような雰囲気がある。個々のキャラクターに能力差があり,アクションポイントと呼ばれるパラメータ値によって,どれだけ移動できるか,アイテムの出し入れができるという回数が変化してくるというわけだ。キャラクターの移動アニメーションは,右クリックでスピードアップすることもできる。
 キャラクターが移動すると急にカメラ位置が変化して,キャラクターの動きが止まってしまうことがある。これは,銃の射程距離が一画面を超えてしまうこともあるため,敵の姿が見えるたびにキャラクターをストップさせ,プレイヤーの指示変更の意思を仰ぐためなのだ。この仕様は,慣れるまでに違和感を感じるかもしれない。
 ミッション中に倒した敵からは,拳銃やマシンガン予備マガジンをはじめ,体力回復やステータスの一時的増強のためのビールやドラッグ,タバコといったパワーアップアイテムを入手できる。中にはCDやゲームソフトのような使い道の分からないものも存在しているが,アイテムの説明を読んでいるだけでも腹を抱えるほどおかしい。
 ゲームに登場する一般人を殺戮してもペナルティはなく,流血の多さや残虐な悲鳴に加え,安っぽい2Dアートの手抜きっぽさが「Postal」を連想させる。ちょっと懐かしい系のハードロックはノリが良く,Net-Gamesのサーバーでは無料のネットワークプレイも楽しめる。モノがモノのせいか販売経路が限られており,現在ではNet-Games社のウェブサイトでしか予約を受け付けておらず,欧米の小売店での販売は未定となっている。

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(C) Net-Games AG 2001