Throne of Darkness

●Preview#18:Throne of Darkness #2

Text by Kazuhisa

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クリックすると拡大します  2001年E3。
 Alien vs. Predator2Half-Life:Blue ShiftEmpire Earthなど,おびただしい数のPCゲームを展示していたSierraのブースの中でも,ひときわ異彩を放って目立っていたのが,"サムライDiablo"ともいえる「Throne of Darkness」(以下ToD)だった。超大作が多すぎたせいかいまいち地味な印象が否めなかったが,先日「ここ」で報じたように,カプコンから発売されることが決定し,ちょっと気になっていたforGamer編集部としては嬉しい限り。
 誰が最初に気になったのか,今までも「ここ」「ここ」「ここ」「ここ」「ここ」などさんざん記事にしてきたが,ついにこのたび"最初のステージだけ遊べるデモバージョン"が公開されたので,触ってみた感じなどを早速紹介してみよう。

 ToDの内容に関しては,先日掲載した本サイトのPreview記事(こちら)を参考にしてほしい。これを読めば,ToDの大方のことは分かるだろう。なお,現状のデモ版は最初のステージ(といってもそれなりに広い。DiabloのAct1分といえばいいか)だけが遊べるバージョンだ。製品版では何がどう変わるかまったく分からないし,もしかしたらここで紹介するシステムは改善/削除などがなされるかもしれない。そのあたりはご了承願いたい。

ゲーム自体は軽く,親しみやすいインタフェースが嬉しい

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 E3ではそのちょっと異様な雰囲気に呑まれて気付かなかったのだが,動作は思った以上に軽快だ。Celeron/800MHz+メモリ128MB+GeForce2MXで十分すぎるぐらいにサクサク動く。"1面分"しか遊べてないだけに,敵がわらわら出てきたらどうなるんだという心配もあるが,この調子なら将来的にもさほどの重さを感じることはないだろう。また,タッタカタッタカ軽快に動き回るユニットも好感度大。別にRPGに限った話ではないが,モッサリモッサリ動く自キャラというのはゲームを起動して2分ぐらいでイヤになってしまうことが多いので(MechWarrior除く),とてもいい感じだ。
 移動は,左クリックで移動/攻撃,右クリックで魔法発動という,モロDiablo。開発者が同じなので当たり前だが。多くのPCゲーマーが慣れ親しんでいるインタフェースなので,なんら問題なくすんなりと入っていけるだろう。

 特徴的なのは,なんといっても最大4人のパーティでゲームを進めていくそのシステム。勝手にどれかのキャラに惚れこむのはいいが,基本的には「これが俺のキャラだ!」というものがあるわけではなく,メンバー全部をうまく使いながら進めていくタイプ。と書くと難しく読み取れてしまうが,要はパーティ制のRPGをリアルタイムでやっているだけだ。
 仲間は,シナリオを進めていくと増えていくようになっている。Leaderを筆頭に,Berserker,Archer,Swordsman,Ninjaなど続々と登場するのだが,ここで重要なのが"布陣"(というか配置というか。英語では"Formation"となっている)。デモ版ではLizardやDragon,Frog,Monkeyなど全12種類の布陣が使えたが,これによってより優位にゲームを進めていくわけだ。TurtleやSnakeの陣で肉弾戦キャラを前に,魔法/飛び道具系を後ろに配置して狭い道を進んだり,Foxの陣で小さく固めた陣にして,大広間などを強行突破したりと,なかなか戦術的な部分も多そうだ。有効に使わないと,おそらくはゲーム後半などでは生き残っていけないのだろう。なにせArcherやMageはアッという間に死んでしまう……。

 "死んでしまう"と書いたが,誰か仲間が死んだらどうするか? とりあえずDAIMYOの元に帰し,代わりの仲間を連れてくる。DAIMYOの元に帰すのも連れてくるのも,ゲームのどの場所にいてもマウスワンクリックだけと異様に簡単。死んだ仲間は,装備も金も,持っているものを全部持っていってしまうのはご愛嬌。

見かけと裏腹にさほど忙しくない戦闘

 戦闘は,これまたDiabloライクで非常にシンプル。カーソルを合わせてクリックするだけだ。ただ敵もかなり軽快に動き回るので,正直な話マウスクリック連打で越えていこうと思わないほうがよさそうだ。そのためのパーティメンバーであり,そのための布陣システムなのだろう。
 何度となくデモをプレイしたが,慣れてくると,よっぽど強そうな中ボスクラス以外は自分はアイテム回収や遠距離からの魔法支援だけをしている感じになってきた。誰かがヤバそうになったらそのキャラにフォーカスを合わせ(そのキャラを操作できるようになる),ちょっと離れてポーションを飲んで再び戦場に送り出す,と。"全部自分でなんとかする"といういままでのアクションRPGとは違い,"全部コンピュータまかせ"にするとラクに越せるというスタンスなのだろうか。これはこれで結構新鮮だ。

アイテム。それがToDの特徴のすべて

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 じゃあプレイヤーは暇なのか? 決して暇ではない。何に忙しいのかというと,それは"アイテム作成"だ。Diabloと,そしてほかのRPGと決定的に違うのがこの部分かもしれない。
 先日のPreview記事でも若干触れているが,ToDのアイテムは「勝手にいつでもお好きなように」作れるのだ。防具も武器もマジックアイテムも。これはかなりびっくり。実は付属のドキュメントを読まないでいきなりプレイしたので,それが分かったのは3回め以降のプレイ時だったのだが……。

 アイテムは,お約束のようにゲーム中に頻繁に現れる。宝箱から出て,敵から出て,樽からもタンスからも出る。Altキーで画面中の落ちてるアイテム一覧を表示するのもDiablo譲り。装備は11エリアに分かれており(キャラによっては両手それぞれに剣を2本ずつ持てたりもするので,最大13エリアかも),そのそれぞれに拾ったアイテムを装備しつつ進めていくわけだが,当然のことながら,途中からアイテムが余りだす。装備がダブつき出すと,ヨワッチイ布の服なんていらなくなるわけだ。ここで普通のRPGなら,街なりなんなりに戻って鍛冶屋や道具屋に売り払う。そうやってお金を貯めて,次なる強い装備を夢見て暮らす。これが普通のパターン。ではToDはどこが違うのか?
 ToDは,アイテムを売ったりしない。というか,売る場所すらない。どこにもない。「じゃあ余ったアイテムはどうするの? 捨てるの?」 なんとToDでは,いらないアイテムは"鍛冶屋にあげる"のだ。Giveというボタンがあって,最初なにかと思った。防具も武器も,余ったらぜーんぶこの人が持っていってくれる。しかもこの人,いつでもどこでも呼び出せるのだ。なんと便利。
 そしてここからがToDの本領(?)。これらGiveしたアイテムは,マメな鍛冶屋が全部溶かしたりほどいたりして材料に戻してくれているらしく,Giveした量に応じてアイテムを自在に作ってくれるのだ! "作成可能リスト"に登場するアイテムの強さはLvに応じたものらしく,その時点のプレイで"結構実用的なレベル"のものを作ってもらえる。武器も防具も,すべてこれでまかなうというのが,このサムライRPGのシステムらしい。

 さらに,だ。
 DiabloIIにおける"Gem"に相当するものが,かなりの種類存在する。ほんの序盤だけでも優に10種類近く出てきている。ゲーム全体では一体全体何種類になることやら。で,この"Gem相当品"は,プレイヤーがいつでもどこでも好きなようにアイテムに組み合わせることができる。これが,前述の"マジックアイテムも自由自在"の意味だ。かなりのランダム性が強いとはいえ,組み合わせに限界のあったDiabloとは違う,新しいシステムだといえるだろう。もちろん,ユニークアイテムや(おそらくは)セットアイテムのようなものもある。
 DiabloIIも,LoDになってGem相当品の種類が増えたようだが,ToDは一味違う。アイテムによって,"Gem"を入れるソケットが4穴だったり6穴だったり,8穴だったりとさまざま。1穴しか使わないものを八つ入れるか,4穴使うものを一つと2穴モノを二つ入れるか,その選択はプレイヤーに完全にゆだねられているのだ。強い"Gem"が出るまで耐える人,出たらサッサと使ってとにかく進める人……プレイにも幅が出てくるのではないだろうか。
 ちなみにマジック化したアイテムには,その効果によっていろんな修飾語が付く。これお約束。アイテム名のみならず,その修飾語も"ヘンなjapan風味"のものが多いので,必見。WAKIZASHIをマジック化してMEISHOとかMEIJINとか付くと,なんとなく嬉しくなってしまう。外人さんには意味分からないんだろうけど……。

 と,いろいろと書いていると,長々と行数を使いそうなのでこのへんで。
 アヤシサ大爆発のその見かけ,どっから見てもDiabloのパクリにしか見えないシステムの数々(ポータルもあるぞ)……そんなモノに騙されることなく,とりあえずはデモ版で遊んでみてほしい。軽い挙動,気軽なシステム,ヘンな雰囲気,ハマりそうなアイテム作成など,それらが一体となった妙な魅力がある。
 まだ筆者も,ToD全体の10%も遊んでいないだろうからそれ以上のことは言えないが,少なくとも巨大なデモ版を落として遊んでみるだけの価値はあるといえるだろう。願わくば,デモ版でマルチプレイが体験できればよかったのだが。

 ところでパーティがゲーム中に「ブレーモノッ! ブレーモノッ!」と叫んでいるのだが,スーパーファミコン時代のゲームライクなその声が,耳について離れない……。

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