●Preview#35:Dungeon Siege日本語β版
Text by Kazuhisa
今回突如入手できた,マイクロソフト期待のRPG「Dungeon Siege日本語β版」(以下DS)。以前から「結構早めに渡せるかもしれません」とは聞いていたのだが,まさかこんなに早いとは。しかも前触れもなく送られてきてて,嬉しい誤算だ。あらゆる仕事を放り投げて早速プレイしてみたので,その詳細をお伝えしよう。とりあえずの"ファースト・インプレッション",という感じだ。なお,お約束の表現になるが,本記事で扱っているのは「Dungeon Siege完全日本語版」の"β版"だ。画面もシステムも,そしてメッセージも,製品とは異なる場合があることを了承しておいてほしい。
「Dungeon Siege(ダンジョン・シージ)ってナニ?」という人は,本サイト内Dungeon Siege特設ページ「こちら」をチェックしてみてほしい。やたらにたくさんあるムービーやScreenshots集,数々の開発者インタビューなど,現在分かりうる情報はすべて網羅されている。
なお今回もらったCD-ROMによると,日本語版は「吹き替え+字幕」という豪華仕様になる模様。英語版とのマルチプレイの問題など気になる点も多いが,それらは追って明らかになることだろう。
■動作スペックは比較的軽い?
今回テストに使ったマシンは,Celeron/1GHz+GeForce2MX400,メモリ256MBでWindows 98SEという構成。高スペックでもなく低スペックでもなく,PCゲームマシンとしては,まぁ比較的普通のマシンといえるのではないだろうか。そのマシンにフルインストール(約1GB)で,
・解像度:800×600ドット・16ビットカラー
・陰影表現:一部複雑
という設定でプレイしてみたが,ちょっとつっかかりながらも問題ない範囲で動く。画面内の敵やエフェクトが増えると"カクン"という感じで一瞬止まるが,あとはさほど問題ない。まだ入手してから数時間なので先のほうまではプレイできていないが,この分なら問題なさそうだと思っていいだろう。"いかにも"な感じの重そうなグラフィックスなので心配していたが,ちょっと安心できそうだ。
■グラフィックス
その肝心のグラフィックスだが……いままで見ていたとおり,非常に美しい。単に「美しく精細なグラフィックス」というよりは,描き込みと色味,テクスチャなどのバランスが非常にとれている,「目にうるさくないグラフィックス」とでもいえばいいだろうか。現在のPCゲームの標準からいうとさほど目立った精細さがあるわけではないが,非常に"職人芸"的な印象を受ける,感じの良いグラフィックスだ。オブジェクトの影などの描き込みも秀逸。それについては,「こちら」でいままで掲載したScreenshotsやムービーなども見て,自分の目で確認してみてほしい。葉の1枚まで透明化され,どんなに小さいオブジェクトにも影が付き……決して「驚異的に美しいグラフィックス」とはいえないのは事実だが,キレイに描いている背景の2Dグラフィックスと,"美しく見えるための"必要最小限なポリゴンの貼られたオブジェクトは,見ていてとても気持ちがよい。
Taylor氏が強調する,ウリであるところの「シームレスな場面転換」は,実際目の前で見るとなかなかのモノ。オープニングのムービーシーンからゲームへ,地上からダンジョンへ,家の中から外へ,いっときの躊躇もなくスーッと場面転換する。正直,いままで聞いていたときは「確かにスゴイけどゲームの面白さとは関係ないよなぁ」と思っていたのだが,実際にプレイ中に体験すると結構感動だ。EQの"ゾーニング"やDiabloIIなど,全部このシステムになればいいのに,と本気で考えてしまう。一度読み込みをしたら,それ以後一切「LOADING」の画面が出ないという点も,地味ながらもポイント高いといえるだろう。
■キャラクター
さてキャラクターだが。いままでのインタビューでも分かるように,キャラクターそれ自体はさほど重要な扱いを受けていないように見える。RPGでお約束のクラス(職業)や種族があるわけでもない。キャラクターメイクで選択できるのは,
Gender,Head,Skin,Hair,Shirt,Pants
の6種類だけ。とはいえ,完全にパーツ同士がバラバラになっているわけでもないようで,
「Head AとSkin C」という組み合わせと
「Head BとSkin C」という組み合わせでは,顔つきなどが微妙に変わってくる。このあたり芸が細かいので,ひととおりの組み合わせを見てみれば,きっと好みの顔(?)が見つかることだろう。
なお「ムービーシーン = ゲーム内のグラフィックス」というポイントはここでも生かされており,キャラクターを変えるとオープニングムービーも見事に変わる。2種類のキャラクターのオープニングムービーを並べてみたので,下の画面写真で見てほしい。
■ゲームインタフェース
・移動関係
移動は,行きたいところでマウスを左クリックするだけの,お約束かつ分かりやすいインタフェースだ。マップ表示のTabキー,持ち物表示のIキーなどと相まって,たいていのゲーマーならマニュアルレスで操作できることだろう。マウスホイールでビューがズームイン/アウトするのも心地よい。
一見なんの問題もなさそうなこの移動システムだが,一つだけ気になった点がある。マウス押しっぱなしが効かないのだ。クリックしたところにすぐ移動して,その瞬間次の移動ポイントに向かいたいようなときは(それが普通だと思うが),その都度マウスクリックをしなくてはならない。最初「なんでじゃい」と思っていたのだが,パーティ編成時に(RTSのように)マウスのドラッグでキャラクターを選択する必要があるからだ,と気づくのに,さほど時間はかからなかった。なるほど,確かに仕方ないけれど,なにかうまい方法はないものか……。
ところで,いわゆる「全体マップ画面」でプレイできるのは結構便利だ。当然マップ画面でもズームイン/アウトが効くので,このままプレイする人も多そうな気がする。
・戦闘
戦闘は,常々言われているようにオートコンバットだ。一度クリックすれば,基本的にはどちらかが死ぬまで攻撃し合うことになる。マウスをカチカチカチカチと連打しなくてもよいのは非常にラク,いやラクすぎるかもしれない。 ところで「一度クリックすれば」と書いたが,設定次第ではそれさえなくなってしまうのも,DSの大きな特徴だ。
DSの画面右下には「NPCへのコマンドパネル」なるものが表示されているのだが,そこでナニが設定できるかというと……。
●移動コマンド(三択)
移動:敵をどこまでも追跡
交戦:自分の周辺で敵を追跡
停止:動かないが,敵から攻撃されると反撃
●攻撃コマンド(三択)
攻撃:どのような敵とも交戦
防御:自らは攻撃せず,敵から攻撃されると反撃
戦闘停止:敵から攻撃されても戦わない
●ターゲットコマンド(三択)
最も近い敵を攻撃:視界にいる最も近い敵を攻撃
最も強い敵を攻撃:視界にいる最も強い敵を攻撃
最も弱い敵を攻撃;視界にいる最も弱い敵を攻撃
というわけ。もうお分かりかと思うが,これらを組み合わせて,
「自分からは決して攻撃しないけど(防御),ひとたび攻撃されたら自分の周辺に限って追跡攻撃も行って(交戦),敵が複数いる場合はとりあえず弱い奴から倒していこう(最も弱い敵を攻撃)」
というNPCの思考ルーチン(というより"志向"ルーチン?)が簡易的に作れるわけだ。
むろん,
「どんな相手でもガンガン攻撃するし(攻撃),オマケにどこまでもどこまでも追跡しちゃうし(移動),最も強い手ごたえのある奴から倒すぜ!(最も強い敵を攻撃)」
という猪突猛進な困ったチャンNPCエンジンにもできるわけだが。このあたりは,自分のプレイスタイルに合った"負担にならないNPC"を作れそうで,とても興味深い。
ちなみに,物理攻撃を重ねれば接近戦闘レベルが上がり,魔法攻撃を重ねれば魔法攻撃レベルが上がる。古い人限定の話で申し訳ないが「ザナドゥ」的なシステムを想像しておけばいいのではないだろうか。ちなみにレベルUpするステータスとして目に見えているのは,
接近戦闘,遠隔戦闘,自然魔法,戦闘魔法(以上は"スキル"扱い)
強靭性,敏捷性,知性(以上は"ステータス"扱い)
の7種。シンプル イズ ベスト。
■アイテム
調子に乗って書いていると仕事もせずに(いや,仕事だが)遊び呆けることになりそうなので,サクサクと進めてしまおう。
アイテム類に関しては,いわゆるDiabloタイプを想像してくれればOKだ。画面を見れば分かるが,
・左側の装備パネル
・右側の所持品パネル
に大きく分かれており,装備可能箇所は
・接近戦闘用武器,遠隔戦闘用武器,鎧,ヘルメット,ブーツ,ガントレット(こて)
・アミュレット,盾,リング4か所
の9か所(正しく言うと12か所)となっている。RPGにおいては切っても切れない要素である「アイテム」だが,これぐらい種類があれば不満のない――そして苦痛でもない――レベルだろう。マジックアイテムに関してもDiablo同様「接頭語」「接尾語」のつくアイテム構成だが,それはもう少しやり込んでから触れることにしよう。
ちなみに使っただけ減るポーションとか,慣れないと戸惑うけど面白い試みかも。残量把握が肝,か。
■マルチプレイ
さて,気になるマルチプレイだが,まずは画面を見てみてほしい。マルチプレイのホスト設定画面だ。
・プレイヤー数の上限:
2〜8人
・難易度:
イージー/ノーマル/ハード
・制限時間:
なし/15分/30分/45分/1時間/1時間30分/2時間/3時間/5時間(!)
・死んだときに手放すもの:
なし/所持品のみ/装備品のみ/すべて
・新しいキャラクターのみ許可
・ゲーム中のポーズを許可
などが見え,いままで当サイトのインタビュー記事で出てきたような
・そんなにキャラクターをイジれるゲームでマルチプレイどうするのだろう
・マルチプレイで死んだときってアイテムなくなっちゃうの?
・どこでもポーズかけれる仕様は,マルチのときにどうなるのだろう
という問題が,噂どおりここですべて解消されているように見える。Taylor氏の言う「ホストに大きな権限があるんだ」というのは,無事証明されたわけだ。
そんなこんなで早速マルチでプレイを試してみた。まだZoneマッチングができずにLAN対戦だけ試してみたのだが……軽い。かなり軽い。LAN内なので当たり前といえば当たり前だが,マシン間のラグもほとんど存在せず(マルチプレイ部分のコードがイマイチだと,隣り合った2台のマシンでもライムラグを生じたりするし),かなり期待できそうな感じだ。追って大人数でもテストしようと思っているので,そちらの結果もお待ちあれ。
■Siege Editor
……についてをツラツラと書きたかったのだが,さすがにまだCD-ROM内には入っていなかった。なので,これはまだまだおあずけ。でも先日Forumに書いてあったことで,一つだけ。確か魔法もエディタで新しいものが作れるはずだ(Chrisからそう聞いた気がする)。そこは期待していいのではないだろうか。
とりあえず,今回はここまで。
いまのところ「うおぉぉぉ」という"圧倒的なナニか"を持っていないように思えるが,オリジナル作品の丁寧な作り,マイクロソフトのローカライズ,慣れ親しんだゲームシステム,美しいグラフィックス,盛り上げてくれるストーリーなど,"秀作"と読んでもまったく問題のない雰囲気を漂わせている。現段階でさえこのレベルなのだから,製品版ではさらにファインチューンされていることに期待しよう。2002年春の発売が待ち遠しい。
余談だが……日本語β版では「エッブ王国」と表記してある。Chris Taylor氏は確かに「アーブ」と発音していたのだが……些細なことではあるが,ちょっと気になってみたり。
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