「Warcraft III：The Frozen Throne」（以下，TFT）は，Blizzard社の人気タイトル「Warcraft III: Reign of Chaos」（以下，WC3）の拡張版。新たな種族こそ登場しないものの，ユニットやヒーローの追加，そして戦術的に大きな影響をもたらすアイテムの増加など，傑作WC3をさらに盛り上げる要素が豊富に盛り込まれている点が本作の特徴だ。
　いまいちどTFTの概要をおさらいしておくと，以下の通り。

　・新ヒーロー，新ユニット，アイテム，マップの追加
　・5種類の中立ヒーローが登場し，自由に雇える
　・battle.netの機能，インタフェースの強化
　・二つのシングルキャンペーンが用意

　さらにTFTでは，チーム戦をより強力にサポートする"クラン戦システム"を実装し，さらなる高み（盛り上がり）を見据えた要素の追加も行っていくなど，この世界的大作に死角は見あたらない。製品版には，付属の「World Editor」で制作されたDiabloタイプのRPGミニキャンペーンが収録されるなど，細かいファンサービスも万全だ。
　ミニキャンペーンといえば，WC3では，通常の対戦モード以外にWorld Editorで作られたユーザー手製のミニシナリオも非常によく遊ばれている。純粋にRTS的なものから，ちょっとしたRPG風のもの，果てはまったくルールの違うスポーツゲームのようなものまで，WC3の素材（エンジンやモデル）を使ったあらゆるミニゲームを楽しむことが可能で，対戦は苦手でそれほど遊ばないけど，ミニゲームはよく遊ぶというユーザーも多くいるほどだ。Blizzardとしては，RPGスタイルのミニゲームをデフォルトで用意することで，より多くのユーザーにWorld Editor，ひいてはWC3の可能性の奥深さを感じさせたいのかもしれない。

　現在，既にオープンβテストが開始されているタイトルだけあって，とくに目新しい要素などは発見できなかった本作。それでもブース内に設置された試遊台に多くのギャラリーが集まっていたのは，さすがに超人気シリーズといったところ。試遊台で遊んでいた人の多くは，主に新ヒーローを使ってプレイしており，新しい要素の手応えを確かめるように遊んでいたのが印象的だった。

　すでにバランス調整も佳境に入りつつあるTFTだが，2003年の夏に発売を予定している。筆者も参加中のβテストの様子を見る限りでは，開発はかなりスムーズに行われているようだし，予定通り製品版が発売することに期待するばかりだ。（TAITAI）