Kimの韓国最新ゲーム事情#13 | - 06/13 21:52 |
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Kimの韓国最新ゲーム事情#13 崩れつつある韓国のPCゲーム業界(2002/06/13) Text by Kim Dong Wook特派員 韓国は,1000万世帯中600万の世帯が,いわゆる"高速通信網"を使っている。全国には3万店舗のPC BANG(ネットカフェ)があり,全国民のPCの利用率は78%に至る。 そんな,世界的なネットワークインフラを誇っている韓国。その基盤から,オンラインゲームという側面から見れば,数的にも技術的にも水準級だといえるだろう。しかし,長いこと(といってもまだ新しい分野だが)韓国のゲーム産業を維持してきたPCゲームは,どんどん衰退の方向に向かっているのだ。 勘違いしないでほしいのが,ここでいう「PCゲーム」はシングルプレイゲームの話だ。韓国のPCゲーム業界は,2001年から数多くのオンラインゲーム開発社が設立され,従来のPCゲーム開発社は,そのほとんどがオンラインゲーム開発へとシフトした。 そんな動向もあり韓国のPCゲーム市場では,キッズ向けゲーム(スーパーマリオみたいな横スクロール形アクションゲーム)と,一部の海外の大作PCゲーム(その99%はBlizzardだけだといってもよい)以外に韓国産のPCゲームがまったく発売されていないという状況になってしまった。今年発売される予定の韓国産PCゲームは,THE FATE, ACE SAGA(ムービーは「こちら」から)など10タイトル程度しかない。 韓国のPCゲーム市場がこうなった理由は,ネットワークインフラによるオンラインゲームブーム以外にも重要な原因がある。そうそれは,世界的に悪名高い「不法コピー」の問題だ。 皮肉なことに,ネットワークインフラの整備によってワレズ(warez)サイトが盛り上がったのが,火に油を注いだ状態となった。そしてすべての韓国のPCゲーム雑誌(5誌ぐらいある)は1997年から今まで毎月,PCゲーム製品版をバンドルして読者に配布してきた(今まで配られたPCゲームは,総タイトル数360以上だ)。韓国のプレイヤーは,ゲームのパッケージを買うより雑誌を買うことのほうが多いわけだ。 韓国の著名ゲーム業界人達は 「今の状況が続けば,韓国のPCゲーム市場は終わってしまうだろう。PCゲーム開発者達がこぞってオンラインゲームへと移行しているのは残念だ」 と語っている。 韓国のPCゲーム業界のスターともいえるSOFTMAX社とSONNORI社がすでに,PCゲームは諦めてオンラインゲーム部門への進出を宣言した。そもそも今年の年末に発売予定のSOFTMAX社のヒットシリーズ「マグナカルタ」(ムービーは「こちら」から)は,次回作の開発さえ予定していない状況だ。大体のPCゲーム会社は,今年の売り上げの50%以上をオンラインゲームであげようという戦略を取っている。E3でも気を吐いていた巨大メーカーPHANTAGRAM社も,今年の売り上げの80%以上を自社のMMORPGのシャイニングロア(ムービーは「こちら」から)であげる計画だ。 政府の文化観光部の傘下のゲーム団体である"韓国ゲーム産業開発院"の2001年韓国ゲーム開発の動向報告書によると,2001年に韓国で開発されたゲーム325タイトルのうち,オンラインゲームは147タイトルで45%を占めていることが明らかになった。 今現在,韓国のPCゲーム開発会社は,最終ステージに立っているといっても過言ではないというのが,多くの業界人達の一致した意見だ。今後2〜3年間で会社の業績を伸ばすには,もはやオンラインゲームしかないのではないだろうかという認識が非常に強い。 しかし。今韓国で開発中のオンラインゲームとサービスインしているオンラインゲームを合わせると,およそ200タイトルにもなる。しかしその中で,利益を上げられるオンラインゲームは10%ぐらいではないだろうか。 崩れかけのPCゲーム界から逃げ出してオンラインゲーム界へと引越ししようとしている開発会社としては,いままさに"本当にどうすればよいのか?"というジレンマに陥っている。 |